東大史Q&A Q4-1


4.東京大学のキャンパス
Q 赤門は、いつ何のために建てられた門ですか?
A 本郷キャンパスのほとんどは江戸時代には加賀藩の上屋敷でした。赤門は加賀藩主の前田家 13 代斉泰が徳川第 11 代将軍家斉の息女 溶姫 を正室として迎えるにあたり、その住まいである御守殿とともに 1827(文政10)年に建立された朱塗りの門で、正式名称を旧加賀屋敷御守殿門と言います。明暦の大火以後、将軍家から輿入れがある場合、三位以上の大 名には朱塗りの高麗門を建てる慣習がありました。もとの位置は今よりも15 メートルほどキャンパスの内側になります。 加賀藩邸の大半は1871(明治4)年に収公され文部省用地となりました。1877(明治10)年の東京大学創設に伴い、東京大学の敷地となり、御守殿門 は本学に移管されました。東京大学における最も古い建物というだけでなく、焼失したら再建は許されなかったので、江戸時代の御守殿門の形と技術を今に伝え るただ一つの貴重な建造物となっています。1931(昭和6) 年に国宝に指定されましたが、現在は国の重要文化財となっています。

「赤門(旧加賀藩御守殿門)」
出典:『写真帖 東京帝国大学』1900(明治 33)年版、東京大学文書館所蔵、F0025/S03/史A26
【参考資料】
- (1) 岸田省吾「大名屋敷の華 赤門」、木下直之・岸田省吾・大場秀章『東京大学 本郷キャンパス案内』(東京大学出版会、2005年)、22~24頁
- (2) 東京大学ウェブサイト「旧加賀屋敷御守殿門(赤門)」
- (3) 東京大学本部コミュニケーション戦略課「赤門 履歴大公開」『学内広報』No.1415(2011.8.25)
- (4) 「140周年記念赤門展から学ぶ最新研究成果のあれこれ 溶姫の赤門、東大の赤門。」『学内広報』No.1496(2017.5.25)