東京大学教員の著作を著者自らが語る広場

茶色いコルクボードのような表紙にサイズ大のフォントで題字

書籍名

大学4年間の経営学が10時間でざっと学べる

著者名

高橋 伸夫

判型など

224ページ、四六判、単行本

言語

日本語

発行年月日

2016年9月16日

ISBN コード

978-4-04-601765-9

出版社

KADOKAWA

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大学4年間の経営学が10時間でざっと学べる

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東京大学では、経済学部に進学したばかりの学生は、本郷キャンパスに来る前に、2年目の秋に駒場で経済学部の専門科目1という基本科目を履修する必要がある。その中の一つ「経営」という科目を、私は20年以上も担当してきた。そんなある日、「先生の講義を聞いて経営学に興味を持ったのですが、一日で読める経営学の本があったら読みたいので、何かありませんか」というゼミ生が現れた。私は思わず、「そんな本あるわけないだろう。ちゃんと時間をかけて勉強しなさい」と切れ気味に答えた。
 
しかし、そんな会話をして半年もたたないうちに、そんな本を書いて出してしまった。一日どころか、10時間、多分5時間もあれば十分に読めてしまう。
 
実は『大学4年間の経営学が10時間でざっと学べる』の企画が持ち込まれたのは、そんなゼミ生との会話の直後で、私は即座に「無理」と答えた。しかも、原稿の締め切りが数カ月と短すぎるのにもあきれた。しかし、あきれながらも、私はふと思った。もし2週間で原稿を一気に書き上げることができたら……そのくらいのスピード感で全体を一気に書き上げた原稿だったら、読者も一気に10時間で読み切ることができるのかも……と。そこで編集者には、「引き受けるとは約束できないが、2週間だけ待ってほしい。2週間で書けなければ、この話はなかったことにして」と告げて、とにかく原稿を書き始めた。
 
そして2週間で原稿は書き上がった。それは、私が担当する「経営」や他の授業の内容、さらには私が東京大学経済学部で目にしてきた耳にしてきたトピックスを幅広く、しかもそのエッセンスだけを抽出する作業だった。そのおかげで、私自身が、経営学が金儲けの術などではなく、この企業社会の中で良き市民として生きていくためのヒントに満ち溢れたものであることを再確認できた。この企業社会では、勝手な思い込みや間違った知識に基づいて、深く考えもせずに安易に判断し行動してしまったがために、ビジネスとして成功しないばかりか、他の人を深く傷つけ不幸にしてしまうことが多々ある。大学の経営学をざっとでも学ぶことは、幸せな企業社会を築く第一歩になるはずだと再認識した。
 
そして本書を読んだ読者は、どこか自虐的な雰囲気に気づくはずだ。自虐的に感じるのは、経営学の理論やモデルが、常にビジネスの世界やデータで検証され、修正されたり、否定されたりしていることを正直に紹介しているからである。そこにこそ進歩の芽があり、正しい理論やモデルの生まれる可能性がある。一経営学者として、「今では科学的に否定されています」と書けることは、誇りに思いこそすれ、恥ずかしいこととは決して思わない。経営学はサイエンス。それが大学の経営学なのだから。
 

(紹介文執筆者: 経済学研究科・経済学部 教授 高橋 伸夫 / 2017)

本の目次

【第1部 経営組織論】

1. 経営管理論の始まり
2. 意思決定
3. 組織デザイン
4. マクロ組織論
5. モチベーション
6. リーダー

【第2部 経営戦略論】

7. 経営戦略
8. 全社戦略
9. 競争戦略
10. 事業戦略
11. アウトソーシング
12. マーケティング
13. カスタマー
14. 国際経営

【第3部 技術経営論】

15. 生産管理
16. 品質経営
17. 製品開発
18. イノベーション
19. 組織のイノベーション
20. イノベーションの普及