東京大学教員の著作を著者自らが語る広場

白い表紙にモノクロの線画イラスト

書籍名

あらゆる学問は保育につながる 発達保育実践政策学の挑戦

著者名

秋田 喜代美 (監修)、山邊 昭則、 多賀 厳太郎 (編)

判型など

408ページ、四六判

言語

日本語

発行年月日

2016年3月29日

ISBN コード

978-4-13-051333-3

出版社

東京大学出版会

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あらゆる学問は保育につながる

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本書まえがきより
 
「保育は、私たちが人類の未来のために担っている最も大切な営みの一つである。一方、学問とは、自己を含むすべての世界を知りたいという欲求を、普遍的な形で後世に残す営みである。そこで、保育と学問とを同じ土俵の上に乗せてみると、この組み合わせが、極めて重要で魅力的な課題であることに気づかされる。保育は、現在の学問を総動員して追求すべき問題ではないかと。本書の構想は、これほど大切で魅力的なことにもかかわらず、保育が多くの学問の協同によって語られてきたことは、あまりなかったのではないか、ということを出発点にしている。
 
人が育つこと、そして、人が育てられる事を本質的に理解するために、あらゆる領域の学問の進歩が必要だということを説明するのは比較的容易である。しかし、それらの学問が、実践的な知とどのように結びつくのかという道筋は明確ではない。このギャップを乗り越えるためには、強力な作業仮説が必要だ。そこで本書では、『あらゆる学問は保育につながる』という作業仮説を掲げ、この困難な問題に挑戦することにした。
 
このような試みには、新たな場の形成が必要である。平成二十七年七月一日、東京大学大学院教育学研究科において、附属発達保育実践政策学センターが発足した。このセンターでは、保育を担う社会と政策、子育てや保育の実態、乳幼児の発達の機構、保育に関わる教育等について、社会科学、人文科学、自然科学までをカバーするあらゆる学問領域の専門家が集まって研究できる場を構築することを目的としている。本書は、この活動に賛同する多くの研究者、そして保育の実践者他、多くの方の協力により形になったものである。
 
本書がこうした新たな試みの旗印となり、多くの人々に読まれ、さらに多くの知恵が保育の問題の追求へとつながることを期待している。保育に強い関心を持っている方が、思っても見ない学問領域の面白さに目覚めること、保育に全く関心のなかった方が、自分の仕事や研究が、実は保育に関連していることに気づいたりすること、そんなことが、読者の中で展開することを特に期待したい。」
 

(紹介文執筆者: 教育学研究科・教育学部 教授 多賀 厳太郎 / 2018)

本の目次

はじめに (多賀厳太郎)
序章  いま「保育」を考えるために (秋田喜代美)

第1部  社会と保育
第1章  現代日本の保育:人が育つ場としての保育 (秋田喜代美)
第2章  公共政策の対象としての就学前の教育と保育 (大桃敏行)
第3章  保育の制度・政策研究をめぐる諸課題 (村上祐介)
第4章  座談会 保育・幼児教育実践の現在 (井桁容子・佐々木美緒子・田中雅道・塚本秀一 / 聞き手: 秋田喜代美・遠藤利彦)

第2部  発達と保育
第5章  発達と保育のシステム論 (多賀厳太郎)
第6章  ヒトの初期発達と環境 (渡辺はま)
第7章  子どもの社会性発達と子育て・保育の役割 (遠藤利彦)
第8章  ヒトの生活史戦略から捉えた保育 (高橋 翠)
第9章  文化と文脈を内包する場としての保育 (淀川裕美)

第3部  保育と学問
第10章  座談会 発達保育実践政策学の構築に向けて (秋田喜代美・遠藤利彦・大桃敏行・佐倉 統・多賀厳太郎・村上祐介・山邉昭則・渡辺はま)
第11章  学術と社会の架け橋としての科学的助言 (山邉昭則)
第12章  発達保育実践政策学への期待 (佐倉 統)


あとがき (多賀厳太郎・山邉昭則)