東京大学教員の著作を著者自らが語る広場

黒い表紙に金印、鐘、銅鏡の写真

書籍名

ヒスカルセレクション考古3 弥生時代 邪馬台国への道

著者名

設楽 博己

判型など

128ページ、A5判、並製、オールカラー版

言語

日本語

発行年月日

2019年12月4日

ISBN コード

9784906822324

出版社

敬文舎

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弥生時代

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弥生時代は日本列島で農耕が本格的におこなわれるようになった時代です。植物の栽培を農耕というならば、縄文時代にも農耕はありました。しかしそれはあくまでも採集・狩猟の補助的なものであり、生活の基礎をなす食料を農耕に求めるようになったのは、日本列島では弥生時代が最初です。水田稲作の始まりがとくに重要で、現代の日本の主食の生産がこの時開始されたのです。
 
弥生文化の性格に関しては、上の短い文章のなかにも今日あらたな視点から深められてきたこと、まだわからないことがいろいろと潜んでいます。
 
縄文時代にも稲作があり、縄文前期にまでさかのぼるのではないかというのは歴史の教科書に註ではあるが載っていることです。新たな分析方法によって、どうもそれが疑わしいと考えられるようになりました。では、稲作はいつごろどのようにして日本列島に入ってきたのでしょうか。またどのように広まっていったのか。年代一つを取り上げても、従来と様変わりして開始年代が500年もさかのぼるのではないかという説が議論を巻き起こしたことなどなど。
 
弥生時代の集落は、静岡県登呂遺跡で再現された牧歌的な農村のイメージが支配的でした。しかしそれも1990年代に佐賀県吉野ヶ里遺跡や大阪府池上曽根遺跡で大型の環濠集落や巨大な建造物の跡が確認されると一変し、弥生時代の巨大な環濠集落は単なる農村ではないという弥生都市論なども生まれました。
 
また、年輪年代学あるいはAMS法というあらたな炭素14年代測定法の導入と炭素年代の実年代への変換の精緻化などによって、弥生時代の年代も大幅に見直されています。ただ、それらにも様々な異論や議論があり、長い歴史を有する弥生時代像の形成とその見直しは現在進行中といってよいでしょう。
 
本書は弥生時代とその文化、社会に対して、その文化を担った人々、弥生人の暮らしとしての衣食住の問題、墓と稲作儀礼や祭祀、石器や青銅器などの生産と流通という、身のまわりの分野から海を越えた大陸との関係までを4章、9節に分けて紹介しました。
 
これまでの考え方や新しい考え方をふまえながら、これらのテーマに関するさまざまな問題点について解説を加えたものです。たんなる意見の紹介ではおもしろくないので、私なりの解釈を加えた部分もありますが、弥生時代のはじまりから終わりまでを通しで学べるようにできるだけ広範なテーマによって構成し、概説的な叙述にも配慮しました。それは本シリーズの理念でもあり、入門書としても活用していただければ幸いです。

 

(紹介文執筆者: 人文社会系研究科・文学部 教授 設楽 博己 / 2020)

本の目次

はじめに

第1章 弥生人と弥生文化
第1節 弥生時代と弥生人
第2節 家族と社会
 
第2章 弥生人の暮らし
第1節 食の体系
第2節 弥生人のいでたち
第3節 弥生人のすまい
 
第3章 墓と祭祀
第1節 埋葬とまつり
第2節 農耕儀礼と青銅器のまつり
 
第4章 生産と流通
第1節 各地との交易
第2節 交通手段の発達
 
結びに変えて-弥生時代研究の歩み-
 

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