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データで見る東大の「30代」 &東大の若手研究者支援制度 | 淡青39号より

掲載日:2019年10月29日

若手研究者の個別の姿は「淡青色の若手研究者たち」のページで紹介していますが、東大という組織全体の中では、「30代」の皆さんの姿はどのようになっているのでしょうか。世に公表されているいくつかの数字から概観するとともに、大学全体で進めている若手研究者の支援制度の数々を紹介します。

東大教員の年齢構成(2018年5月1日現在)

  教授
Professor
准教授
Associate
Professor
講師
Lecturer
助教
Assistant
Professor
助手
Research
Associate
合計
25歳以下 0 0 0 3 0 3
26歳~30歳 0 0 2 82 0 84
31歳~35歳 0 27 33 352 0 412
36歳~40歳 4 149 72 439 0 664
41歳~45歳 47 288 88 264 1 688
46歳~50歳 173 237 56 112 12 590
51歳~55歳 284 138 22 46 7 497
56歳~60歳 408 64 9 22 8 511
61歳以上 360 19 4 13 7 403
合計 1276 922 286 1333 35 3852

東京大学ではホームページでさまざまな教育情報の公表を行っており、その中には教員数や教員の年齢構成を表すデータもあります。ここでは教員の年齢分布を5歳刻みで集計した表を紹介します(特任教授や特任助教などの特任教員を含まない表です)。これによると、31歳~40歳の教員は東大全体の約28%。10歳刻みで見ると、一番多いのは全体の約33%を占める41歳~50歳で、その次に多いのは、約26%の51歳~60歳を抑えて「30代」です(カッコをつけたのは30歳が入らず40歳が入っているため)。参考に国立大学全体の数値も見てみましょう。3年ごとに行われる文部科学省「学校教員統計調査」では最新版が2016年度のため、東大とは少し年度が違いますが、31歳~40歳の割合は全体の約23%。一番多い41歳~50歳の割合が約30%で、次に多い51歳~60歳は約27%でした。国立大学全体と比べると、東大は「30代」の教員が少し多めに活躍している大学です。

東大の「30代」教員(31歳~40歳)の職名分布

上の表から、31歳~40歳の教員の職名の別に着目して作成したのが右の円グラフです。この年代の教員で一番多いのは助教で、全体の約74%を占めています。次に多いのは准教授で、約16%。教授は4人しかおらず、グラフではほんの少しの幅にしかなりません。国立大学の教員全体でもこの年代で一番多いのは助教ですが、その構成比は約57%で、東大より少なめ。その分、講師と助手の割合が少し多くなっています。以前は、大学教員といえば教授、助教授、講師、助手でしたが、2007年の学校教育法改正により、助教授を廃止して准教授が設けられ、従来の助手のうち主として教育研究を行う人のために助教が設けられました(主として教育研究の補助を行う人は助手のまま)。

東大の大学院学生の年齢分布

1950年に始まった東大の学生生活実態調査では、学部学生と大学院学生を隔年で対象にしています。報告書には、学生の詳細な年齢分布はなく、3歳刻みでの大まかな構成比が記載されています。大学院学生を対象にした回の最新の報告書によると、30歳以上の人は全体の約20%でした(事例数917人)。ちなみに、文部科学省の平成30年度「学校基本調査」によると、国公私立大学の大学院学生のうち、修士課程では4.3%、博士課程では30.2%、専門職学位課程では24.5%の人が30代(30歳~39歳)でした。経験豊富な社会人学生と若い学生による相乗効果が期待されます。

卒業生の年齢分布(TFT登録者の内訳)

東大卒業生のオンラインコミュニティであるTFTには、現在約5.2万人が登録しています。そのうち全体の36%を占めているのが30代。体験活動プログラム、面接演習講座など、様々な活動を通して学生を支援してくれています。

東大の若手研究者支援の主な取り組み

東京大学卓越研究員制度

平成30年度東京大学卓越研究員に選ばれた若手研究者たちと、総長、理事による記念撮影。3期目を迎えたこの制度ではこれまでに70人以上の卓越研究員が生まれています。

若手研究者自立支援制度として、40歳以下(文系及び教授は45歳以下)で着任後3年以内の研究者に、自由に使えるスタートアップ経費として年額300万円を2年間支給。また、若手研究者育成支援制度として、分野を問わず国内外に広く公募を行い、新たに採用された卓越研究員に対しても、同様のスタートアップ経費を支給。今号に登場した辻先生鈴木先生伊藤先生岸先生は卓越研究員に選ばれています。

サバティカル研修

専門分野に関する能力向上を図るため、授業を休んで自主的調査研究に専念できる制度。対象となるのは継続勤務期間が7年を経過した研究者で、期間は6か月以上1年以内。

若手研究者の国際展開事業

海外渡航費と所属部局の環境整備費を支援。対象は博士学位取得後15年以内(学位未取得の場合は教員着任後15年以内)の研究者。国際発信(短期)、国際研鑽(中期)、国際基盤形成(長期)の3タイプあり。

女性研究者をはじめとした研究者育成支援事業

新規採用の女性教員に研究環境の整備等の経費を支援。女性教員に学会等への参加費用及び旅費を支援。出産、育児、介護等により研究活動を中断した教員に研究環境の整備等の経費を支援。

学術成果刊行助成制度

博士論文や助教論文を元にした著作物の刊行に、1件100万円未満の助成金を支給。サントリー学芸賞、日本比較文学会賞、日本考古学協会賞など、過去にここから多くの受賞作が。

ワーク・ライフ・バランス支援事業

育児・介護、産前産後休暇・育児休業・介護休業、社会貢献活動等のため研究時間の確保が困難な教員を対象として、TAやRA等の雇用経費を支援。ベビーシッター利用時の割引券の発行も。

※各制度の詳細、その他の制度についてはこちらからご覧ください。
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/research/systems-data/support.html

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