2020年度「東京大学におけるダイバーシティに関する意識と実態調査」報告書

​「東京大学におけるダイバーシティに関する意識と実態調査」報告書発表に際して


2021年10月、藤井輝夫総長が新たに基本方針「UTokyo Compass」を公表しました。この方針では、「対話から創造へ」「多様性と包摂性」「世界の誰もが来たくなる大学」の3つの基本理念が柱となっています。本報告書は、この3つの基本理念を実現する土台となる、だれもが居心地よく過ごせるキャンパスづくりを進めるために、重要かつ実用的な資料となるものです。

本調査は、2020年12月15日~2021年1月31日にかけて実施されました。東京大学では、すでに2001年に「セクシュアル・ハラスメントに関するアンケート調査」が始まり、以降、2003年、2005年、2007年と2年ごとに実施されてきました。2007年以降は、調査が中断されてしまいましたが、2020年に調査を再開することを決定しました。

今回の調査は、本学構成員全員に向けて、初めてオンラインで実施しました。調査実施の方法などにはいくつか課題もありましたが、最終的に全構成員の約4分の1(教職員回答率26.0%、学生回答率25.6%、有効回答数合計11939件)という、当初の予想を上回る回答率を達成することができました。回答にご協力くださった皆様に、御礼申し上げます。

調査内容も時代に合わせてアップデートし、オンラインハラスメントの実態の探索や、性の多様性に関する質問項目も導入しました。さらに、セクシュアル・ハラスメント行為にあたるかどうかの質問に関しては、相手方行為者の属性やプロフィールごとに質問しています。これによって、約4万人の構成員を擁する東京大学コミュニティにおいて、学生、教員、職員など、立場ごとに生ずる問題や改善すべき課題を見つけやすくしました。本調査が調査だけで終わるのではなく、構成員一人ひとりにとって、自らの身のまわりの点検や、よりよいキャンパスづくりのヒントとして役に立つことを願います。

残念ながら、前回の調査と比べて、セクシュアル・ハラスメントを経験したと答えている比率に減少傾向は認められませんでした。さらに、自由回答には切実かつ深刻な声が並んでいます。また、調査では女性の被害者だけでなく、男性、性的マイノリティ、そして外国人へのハラスメント(性的なものだけでなく、パワーハラスメントやアカデミックハラスメント)も指摘されています。これらの報告を重く受け止め、今後の施策策定に役立ててまいります。

2022年1月28日

理事・副学長
林香里
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