大津元一教授 講演概要

公開講座・講演会 東京大学公開学術講演会

大津 元一   OHTSU Motoichi

東京大学大学院工学系研究科 教授

*本年度 紫綬褒章受章
大津元一


「光の小さな粒:21世紀の社会を支える新しい光技術」

 宇宙の誕生以来、光は生命を育み、人類は光を使って文明を作りました。また、光についての学問的解釈は17世紀のニュートンとホイヘンスの論争を経て20世紀冒頭のアインシュタインにより一応の決着をみました。その学問の応用として人工の光源であるレーザーが発明され、20世紀末までに光通信や光メモリなどの光技術・産業が急進展しました。今、21世紀の豊かで安全な社会を支えるために光技術にはさらに高度な進展が要求されています。しかし従来の光技術では、光の基本的性質(光が広がりながら遠くへ伝搬する性質)のためにこの要求に応えられなくなり、光技術のデッドロックに直面しています。このデッドロックを越える方法が光の小さな粒(広がらず、伝搬しない、小さな光)を発生させて使うものです。
 この講演では講演者の開発した光の小さな粒(これは近接場光と呼ばれています)、これを用いた革新的な光技術であるナノフォトニクスについて紹介します。ナノフォトニクスとは講演者がずっと前に提案し開拓した技術ですが、最近になってナノテクノロジーという技術の流行とともに国内外で注目されるようになりました。光の小さな粒の不思議な振る舞いとその開発の歴史、これを使った微細な加工、微細な光デバイス、超高密度の光メモリなどのシステムへの応用、将来のさらなる可能性について述べ、未開の科学技術に挑戦しようというメッセージをお伝えします。
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