東京大学 研究データ管理・利活用ポリシー

東京大学 研究データ管理・利活用ポリシー

令和5年2月22日
役員会議決

 東京大学(以下「本学」という。)は、東京大学憲章において真理の探究と知の創造を求め、世界最高水準の研究を維持・発展させることを目標とし、広く社会との連携を確保して人類の発展に貢献することとしている。研究データを適切に管理し保存することによる知の蓄積は、真理の探究と知の創造のための基盤となり、その蓄積された研究データを利活用することは世界最高水準の研究の維持・発展につながる。
 そこで、本学は研究データの適切な管理、保存及び利活用を推進することを目的とし、研究データ管理・利活用ポリシー(以下「本ポリシー」という。)を以下のとおり定める。

(定義)
1.本ポリシーにおける研究データとは、本学研究者(以下「研究者」という。)によって、研究活動の過程で収集又は生成された情報をいう。

(原則)
2.研究データを収集又は生成した研究者は、当該研究データを管理及び保存し、アクセスする権利を有する。

(管理及び保存)
3.研究者は研究データの価値を守るため、研究分野の特性等を考慮し、関係諸法令、規則及び契約等を遵守して、研究データを適切に管理及び保存する。

(利活用)
4.研究者は研究データの価値を向上させるため、研究分野の特性を考慮し、関係諸法令、規則及び契約等を遵守して、研究データの利活用を推進し、可能な場合は研究データを公開する。

(管理、保存及び利活用の支援)
5.本学は、研究者が行う研究データの管理、保存及び利活用を推進するための環境を整え、支援する。

(その他)
6.本ポリシーで定める研究データの管理、保存及び利活用を推進するための方針の詳細や手順、規則等は、必要に応じて本学の各部局等で定める。

補足説明・用語解説

【補足説明】

 内閣府の統合イノベーション戦略推進会議が令和3年4月27日付けで取りまとめた「公的資金による研究データの管理・利活用に関する基本的な考え方」において、「デジタル・トランスフォーメーション(DX)の進展に伴い、大量のデータ、高度な計算資源、大規模なネットワークの活用など、研究開発活動の変容が進んでいる。また、研究成果の発表手段の多様化により、オープンサイエンス等の世界的な知の共有を目指した研究成果のオープン化が進みつつある。一方、世界的な出版社による論文発表の寡占が進展するなど、研究成果や研究プロセス全体で得られたデータをビジネスの対象とする動きも見られる。研究データは、我が国のみならず世界にとって重要な知的資産であるといえる。このような状況を踏まえ、知の結合と発展を促し、優れた研究成果とイノベーションを創出していくためには、研究活動における自由と多様性を尊重しつつ、国際的な貢献と国益の双方を考慮に入れた、オープン・アンド・クローズ戦略に基づく研究データの管理・利活用を実行することが我が国として求められる。」と示されている。
 本学は、こうした背景を踏まえ、本学の研究者が行う研究活動により収集又は生成された研究データの管理・保存・利活用に関するあり方について、研究データポリシーを策定することにした。

(定義)
 本ポリシーにおける「研究データ」は研究活動の過程で研究者によって収集又は生成された情報と定義し、本学が組織の管理を目的として収集した情報は含まれない。ただし、当該情報を研究者が研究活動で利用して生成した研究データは、本ポリシーの「研究データ」に該当するものとする。

(原則)
 本学は、研究者によって収集または生成された研究データの管理・保存とアクセスする権利を、原則、研究者が有することを認める。ただし、関連諸法令、指針、規則及び契約等により、収集または生成されたデータの帰属や、研究データの収集・生成時に何等かの制限が課される場合はその限りではなく、注意が必要となる。

(管理・保存)
 研究分野によって研究データの取り扱いは異なるため、研究者は、研究分野の特性を踏まえたうえで、関連諸法令、指針、本学が定める規則、資金配分機関や協働する機関との契約、各研究分野において要求される倫理的要件等を遵守する必要がある。また、研究データにどのような管理・保存が求められているか等を理解した上で、適切な手順を定め、実行して、研究データの管理・保存を推進していく必要がある。

(利活用)
 どのような研究データを蓄積して利活用に結び付けるかは、研究分野の特性を考慮したうえで、関連諸法令、指針、本学が定める規則、資金配分機関や協働する機関との契約、各研究分野において要求される倫理的要件等を考慮した判断が必要である。研究データの利活用の区分として、個人で利用する非公開のデータ、限定的な関係者で共有するデータ、公開するデータがある。データを破棄せず管理対象とするか、どのような区分で管理・保管・利活用を推進していくかは、オープン・アンド・クローズ戦略に基づき研究者が区分する。

(管理・保存・利活用の支援)
 研究者が研究データの管理・保存・利活用を推進するため、本学や本学の部局等は、例えば、下記のような支援を行う。
・研究データを蓄積・管理・保存・公開するための機関リポジトリや機関データストレージの提供
・研究データの管理・保存を行うための研究データ管理基盤システム利用環境の提供
・研究者が実施する研究データの管理・保存全般に対する支援やコンサルティングサービスの提供
・研究データ管理に必要なスキルを習得するための人材育成・教育プログラムの提供
・公開する研究データの信頼性を確保し、維持するための仕組みや手続きの整備
・研究データの共同利用・第三者提供ルールの整備

(その他)
 本学の各部局などにおいてデータを管理・保存・利活用を実施する場合、当該分野や研究データの特性に合わせて、必要に応じ、管理・保存・利活用の方針・手順の詳細や規則を定めるものとする。また、研究データの管理・利活用のあり方は、社会情勢、社会・経済システム、学術の進展状況の変化により大きな影響を受け、また、関連諸法令の改正なども行われるため、各部局などで定めた方針や規則などは、適宜見直しを図ることが必要となる。本学は、各部局などにおける方針・手順の詳細や規則の制定、および、各種の見直しを支援する。
 
 本ポリシーは研究データの適切な管理・保存・利活用を目的としている。研究データのコンプライアンスなどに関しては、本学がすでに定めている規則、例えば下記に示した規則なども遵守することが必要になる。

・東京大学コンプライアンス基本規則
    https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/rules/b08_01.html
・東京大学成果有体物取扱規則
    https://www.u-tokyo.ac.jp/gen01/reiki_int/reiki_honbun/au07408561.html
・国立大学法人東京大学における研究活動上の不正行為の防止に関する規則
    https://www.u-tokyo.ac.jp/gen01/reiki_int/reiki_honbun/au07410491.html
・国立大学法人東京大学における研究資料等の保存に関する指針
    https://www.u-tokyo.ac.jp/gen01/reiki_int/reiki_honbun/au07410541.html
・東京大学臨床試験等データの利用許諾に関する規則
    https://www.u-tokyo.ac.jp/gen01/reiki_int/reiki_honbun/au07411001.html
・東京大学電子計算機処理データ保護管理要綱
    https://www.u-tokyo.ac.jp/gen01/reiki_int/reiki_honbun/au07405041.html
・東京大学情報セキュリティ・ポリシー
    https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/rules/public16.html

【用語解説】

「研究データ」
・形態としてデジタル・非デジタルを問わず、数値、画像、テキスト、有体物など、あらゆる形態を含める。
・研究データを説明する資料、メタ情報、研究データの収集条件も研究データに含める。
・研究成果が有体物の場合、その有体物を説明するために付随するメタ情報が、その有体物と一対を成して研究データとしての管理対象となる。
・すでに存在する一次的な研究データを加工・解釈した二次データ、統計解析の結果、当該研究データにかかる数理モデルその他のプログラムも研究データとして取り扱う。その際、その一次的な研究データの信頼性を担保するメタ情報も必要となる。
・本ポリシーが対象とする研究データには、研究全体の成果物である著作物である研究成果(論文や講演資料等)を含まない。

「本学研究者」
・本学に雇用されており、研究に従事している役員及び教職員。
・本学の研究者の指導の下で研究活動を実施している学生・研究員(ポストドクターを含む)。
・他大学、民間企業又はその他の機関に所属し、共同研究等により本学において研究活動を実施している者で、それらの者が所属する機関等と協議し、本ポリシーの「本学研究者」の適用対象となる者。
・その他、本学で研究活動を実施していると本学が判断する者

「研究データの管理・保存」
「研究前」「研究中」「研究後」の各フェーズにおける研究者が実施する研究データの管理・保存の例を示す。
「研究前」:研究データマネジメントプランの立案、メタデータ整備等
「研究中」:研究データ管理基盤での研究データの蓄積・管理・共有等
「研究後」:研究データ公開に向けたキュレーション、データの保存・移管等

以上
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