令和6年度 東京大学卒業式 祝辞(國部 毅 東京大学校友会 会長)


令和6年度 東京大学卒業式 祝辞
ただ今ご紹介に預かりました國部でございます。東京大学校友会を代表いたしまして、本日ご卒業される皆さま、そして、そのご家族の皆さまに、心よりお祝いを申し上げます。
私は1976年に本学の経済学部を卒業し、現在は三井住友フィナンシャルグループの会長を務めておりますが、昨年7月より、東京大学校友会の会長を拝命しております。
東京大学校友会は、2004年に発足した全学同窓組織でございます。まだ歴史は浅いですが、300を超える団体会員と約25万名の個人会員によって構成される、大きなコミュニティです。東京大学と会員の方々の相互のコミュニケーションを促進し、本学のさらなる発展を支援することを目的にしております。ここにいる皆さまを含めまして、本学の卒業生・修了生・在学生・教職員の方は、全員が校友会の会員であります。お手元の冊子に案内がありますので、是非ご覧ください。
さて、冊子にも写真が掲載されている、こちらの安田講堂は、ちょうど100年前の1925年に竣工しました。この100年間、世界が歴史的変遷を遂げるなか、多くの先輩方が羽ばたいて行き、社会の変革を先導する姿を、安田講堂は静かに見守ってきました。では、これからの100年はどのような未来が待っているのでしょうか。現在、私たちは、グローバル化の反転、AIを始めとするテクノロジーの急速な発達、さらには気候変動などの社会課題の深刻化といった、大きなパラダイムシフトを迎えています。きっと、これからの時代は、安田講堂に見守られてきた先輩たちが想像すらしてこなかった世界になるでしょう。しかし、そうした時代を乗り越え、明るい未来を創り出していくのは、他でもない、本日ここに卒業される皆さまです。
経営者として、また、先輩として、私の経験から申し上げますと、新たな時代を切り拓くためには、3つの資質が必要です。それは、自ら課題を見つけだし、解決策まで考え抜く知性、変化をいち早く察知し、新たな時代の姿を捉える感性、そして、多様な考え方を尊重し、相互理解を育む品性です。
いずれも言葉にするのは簡単ですが、実践するのは決して容易ではありません。
しかし、ここにいる皆さまは、受験生として前例のないパンデミックを経験し、その後の激しい世界の変化を感じながら、東京大学で学びを深めてこられました。その過程では、学問的な知識のみならず、社会課題の解決に必要な、知性・感性・品性を磨かれてきたことでしょう。
皆さまは是非、自分たちは、この100年の中でも特にユニークな経験を積んだ世代だ」との自負を持って、世界を明るい方向へ変えていってください。進むべき道がそれぞれ異なったとしても、皆さま一人ひとりが、それぞれのフィールドで活躍し、社会課題の解決に貢献されることを期待しています。
そして、世の中を動かしていくためには、それぞれの道で活躍される方が、スマートに群れることで、知の結集を図っていくことも大切です。その際は、東京大学校友会のコミュニティを大いに活用してください。そのためにも、まずは、本年10月に開催予定のホームカミングデイにご参加いただければ幸いです。
最後に、皆さまの前には輝かしい未来が広がっています。皆さまが本学で培った力を活かし、つながり合い、協力し合うことで、より良い世界を創り上げていくことができると確信しています。
皆様の人生の門出を心よりお祝い申し上げますとともに、今後益々のご活躍をお祈り申し上げます。改めまして、本日は誠におめでとうございます。
令和7年3月25日
東京大学校友会 会長
國部 毅
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