被曝の森のライブ音 プロジェクト

小林博樹
空間情報科学研究センター
准教授
  • 福島県
福島県浪江町
本プロジェクトでは福島県双葉郡浪江町での課題解決に向けて、浪江町の帰還困難地域内での長期生態系モニタリングに資するため、無人観測拠点を2016年より運用している。帰還困難地域では放射線量が高いため、有人による生態系調査は極めて困難である。容易に立ち入ることのできない帰還困難地域、また高放射線量下でも継続的に稼働する、信頼性の高い無人調査装置を実装する必要がある。1995年より農学部が農学部ICTプロジェクトと称して実施してきた、森林内における情報収集技術、無人ロボットによる森林画像・音声収集技術を基盤として、我々は2016年より、同地で環境音を録音し、アーカイブを行った。現地に観測情報を長期間保存しておくのは、データの消失リスクが高いので、情報基盤センター等と共同の上、SINET広域データ収集基盤を活用して観測情報を学内までライブタイム転送を行った。これら複数部局の協力なしでは、観測基盤を維持し得ず、これは東京大学の総合力の成果といえる。観測データについては、H. Glotin 教授(仏・トゥロン大)協力の下、機械解析を行った。国際原子力機関チェルノブイリ原発事故報告書によると、被曝した野生動物の数世代に亘る被曝状況とその影響評価は、学術的・社会的に極めて重要であるといわれている。本録音はこれらの点から極めて意義が高い。現在仏・トゥロン大と共同研究を進め、先方が持つチェルノブイリでの録音を含む既存の原発事故対応の知見を活用しながら共同で福島原発事故対応を加速させるべき研究活動を行っている。 これらの研究・実装を浪江町の協力の下で行っている。以上のことを踏まえると、本プロジェクトは東京大学が有する総合力と先進性を生かす地域連携であり、地域固有の問題解決から一般化を目指す地域連携であるといえる。
さらに、2019年度にはイスラエル・ストレルカ大の学生、約20名が、本観測拠点で取得されたデータを活用したワークショップを行った。このことから、本プロジェクトは学生の教育に資するものと考えられる。
森の中のセンサ、無人観測拠点、WEBサイト
図1_森の中のセンサ、無人観測拠点、WEBサイト
小林博樹
研究成果展示中の様子
図2_研究成果展示中の様子
小林博樹

地域連携区分

  • 地域固有の問題解決から一般化を目指す地域連携
  • 学生の教育を中心としたプログラム
  • 東京大学が有する総合力と先端性を生かす地域連携
  • 研究対象・実装現場としての地域連携

プロジェクトに関するURL

共同実施部局/共同実施者

新領域創成科学研究科 斎藤馨教授、農学生命科学研究科 藤原章雄助教 中村和彦助教

関連する協定

International Scientific and Academic Protocol of Agreement between the Center for Spatial Information Science, the University of Tokyo and the University of Toulon

実施期間

2016年3月1日~

問い合わせ先

  • 担当: 小林博樹
  • メールアドレス: animal-grp[at]csis.u-tokyo.ac.jp
    ※[at]を@に置き換えてください

関連するSDGs項目

  • 目標15:陸の豊かさも守ろう
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