演習林地域連携プロジェクト

  • 目標3:すべての人に健康と福祉を
  • 目標4:質の高い教育をみんなに
  • 目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
  • 目標12:つくる責任つかう責任
  • 目標13:気候変動に具体的な対策を
  • 目標15:陸の豊かさも守ろう
蔵治 光一郎
農学生命科学研究科
附属演習林 教授
 演習林は、大学設置基準に基づき、林学に関する学科の教育研究に必要な施設として設置されており、大学教育、研究、社会連携の3つのミッションを掲げています。大学教育では、学部、大学院において、森林に関わる教育を行うとともに、そのための最適なフィールドを提供することを目指しています。研究では、森林を中心とした自然環境および森林と人との関わりについての専門的な研究を促進するとともに、大学を中心とした研究組織に最適なフィールドおよび森林を中心とした自然環境の動態に関する記録(データ)を提供することを目指しています。社会連携では、学校教育や生涯教育をはじめとする社会教育をより豊かなものにするための仕組みとフィールドを提供することを目指しています。
 演習林はこれまで100年を超える長きにわたって教育研究のための多様な森林を造成・保全・管理してきました。その結果、演習林の森には多くの動植物が暮らし、豊かな自然環境が維持されてきました。その一方で、森の恵みは間接的に地域社会にも影響を与えてきました。演習林に降った雨は「緑のダム」に蓄えられ、ゆっくりと川に流れ出して下流の地域を潤します。施業により生産される木材資源は地元地域に出荷され、木材製品として消費されていきます。このように演習林は自然環境や自然景観を保全するとともに、水源涵養や国土防災、地域経済に対して少なからず貢献してきたのです。
 さらに近年は、自然環境に意識を向ける人が多くなり、大学としての研究や教育に加え、これまで培った知識や技術を社会と共有することを演習林の使命のひとつとして加えました。そのため現在、社会教育や広報活動を行い、積極的に社会に貢献するよう努力を続けています。人と自然とが未来に向けて共存していくために、さらなる森林科学の発展を目指し、また、それらを社会に還元するよう日々取り組んでいます。
 演習林の社会連携プロジェクトは以下の3項目に区分され、いずれも地域連携の要素を含んでいます。

1)社会教育・生涯教育
 東京大学演習林では、生態系や生物多様性などに対する関心の高まりに応じ、広く環境教育を行っています。現在のような情報化社会のなかでますます重要になりつつある野外教育の普及と体系化を進めています。野外教育では、地域の小中高校生や一般市民を対象とした森に関する様々な公開講座を行っています。その中にはサポーター(ボランティア)養成講座もあり、生涯教育の場を提供しています。そのほかにも、小中学校の総合学習科目への協力や、小中高等学校教員を対象とした森林教育についての講座の開催など、多彩な活動を行っています。

2)地域との互恵的な関係の構築
 東京大学演習林は、各演習林それぞれに地元と互恵的な関係を構築しています。その関係は経済的なものから生涯教育まで広きにわたっています。例えば北海道演習林では木材を生産しています。これは地元製材業者の原料確保安定化に寄与する一方で、製材業者の存在が林分施業法の実験を成立させてきた側面もあります。また、複数の演習林で地元市町村と交流協定を締結しており、協定に基づいて公開講座などを開催しています。これは森林管理への市民参加と市民教育の充実を意図しています。

※演習林と連携・協力協定を締結している自治体一覧(2018年11月20日現在)
  1. 千葉演習林と千葉県鴨川市
  2. 千葉演習林と千葉県君津市
  3. 北海道演習林と北海道富良野市
  4. 生態水文学研究所と愛知県瀬戸市
  5. 生態水文学研究所と愛知県犬山市
  6. 富士癒しの森研究所と山梨県山中湖村
  7. 樹芸研究所と静岡県南伊豆町 (協定は農学生命科学研究科として締結)
  8. 秩父演習林と埼玉県秩父市
3)情報発信、コミュニケーション
 東京大学演習林では、わたしたちの活動を多くの方に知っていただこうと、広報紙「科学の森ニュース」を年4回刊行するほか、各演習林の概要を記したパンフレットや年間活動報告書などを作成しています。また演習林出版局からは、演習林に暮らす生き物や教育・研究の歴史を紹介した書籍を出版・販売しています。ホームページでは「科学の森ニュース」に掲載された情報を含め、演習林でのイベント・セミナー情報や最新の研究トピックスなど様々な情報を配信し、広く情報の発信に努めています。各地方演習林のホームページでは地元利用者に役立つ情報を公開し、きめ細やかな対応を行っています。
演習林の位置
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演習林の社会連携活動
附属演習林

プロジェクトに関するURL

主な関連論文

東京大学演習林出版局(編)(2012)『“森たび”東京大学演習林の見どころ100』東京大学演習林出版局、106ページ
“Mori-tabi“ Tokyo Daigaku Ensyurin no midokoro 100 “Mori-tabi“ A hundred highlights to visit and see in the University of Tokyo Forests The University of Tokyo Press, 2012, 106 pp.

Developing a network of long-term research field stations to monitor environmental changes and ecosystem responses in Asian forests KAMATA N, KURAJI K, OWARI T, GUAN BT (eds), The University of Tokyo Press, 2019, 282 pp.

問い合わせ先

  • 電話: 03-5841-5497
  • メールアドレス: uf-toiawase[at]uf.a.u-tokyo.ac.jp
    ※[at]を@に置き換えてください
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