自然災害に対する防災と気候変動適応策との架橋~地震による地盤沈降により冠水する珊瑚礁州島にみられる適応策から~

  • 目標9:産業と技術革新の基盤をつくろ
  • 目標13:気候変動に具体的な対策を
小貫 元治
新領域創成科学研究科
環境系・サステイナビリティ学グローバルリーダー養成大学院プログラム 准教授
フィリピンの2013年ボホール島地震により、同島沖の珊瑚礁州島のいくつかは地盤沈降により海抜が低下し、満潮時に島全体で冠水が発生することとなった。これは、気候変動などで予想されている海面上昇を先取りして経験していると考えることができる。

海面上昇の行き着く先としては、低海抜島嶼国の国土の消滅・住民の集団移住などが取りざたされているが、砂浜の浸食は、砂(有孔虫)の供給量や、その移動・堆積メカニズムと海面上昇のスピードの両方を把握する必要があり、砂浜の浸食を海面上昇のみと結びつけるのはやや短絡的である。また、実際に海面上昇を経験している島に住民が住み続けるためにどのような適応策が実施されているのかを知り、それらの適応策の有効性も理解する必要がある。また集団移住も含めた現行の政策をどのような科学的知見が支えており、そしてそれらが住民へどのように伝達され、理解され、実際の適応策の実行に結びついているのかを明らかにする必要がある。ボホール沖の珊瑚礁州島で調査を行うことにより、来たるべき気候変動による海面上昇への適応に関する教訓を引き出すことを目指す。

また、次のステップとして、地震や津波などの自然災害を想定した防災と、気候変動などの長期に渡る環境変動への適応(よりレジリエントな社会作り)を橋渡しする理論的枠組みを提示することを目指す。

大潮時の冠水
代表者, Jamero, L. M.
住民による適応策
代表者, Jamero, L. M.

共同実施者

・Miguel Esteban 新領域創成科学研究科 環境系・サステイナビリティ学グローバルリーダー養成大学院プログラム 特任准教授

主な関連論文

・Jamero, M. L., Onuki, M., Esteban, M., Billones-Sensano, X. K., Tan, N., Nellas, A., & Valenzuela, V. P. (2017). Small-island communities in the Philippines prefer local measures to relocation in response to sea-level rise. Nature Climate Change, 7(8), 581-586.
・Jamero, L. M., Esteban, M., & Onuki, M. (2016). Potential in-Situ Adaptation Strategis for Climate-Related Sea-Level Rise: Insights from a Small Islands in The Philippines Experiencing Earthquake Induced Land Subsidence. Int. J. Sustain. Futur. Hum. Secur, 47, 44-53.

問い合わせ先

  • メールアドレス: onuki[at]edu.k.u-tokyo.acjp
    ※[at]を@に置き換えてください
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