ペンテコステ派とパール行商ーサマが経験する21世紀の仕事と祈り


青山 和佳
東洋文化研究所
教授
東南アジアでは経済発展が続くとともに、宗教の復興が指摘されている。とくに貧困層に浸透したタイプの宗教は、日常生活での繁栄追求を肯定する傾向がある。一方、貧困層の生活実態を分析し、生活の質向上を目的とした開発研究では、経済発展に伴う住民の価値観の変化を前提としつつも、宗教のような非市場的活動と関連づけて論じられることは稀であった。そのため、住民自身の主体的動因や地域的文脈の考察が現実離れする場合があった。本研究は、フィリピンのミンダナオ島ダバオ市のサマ(バジャウ)移民を事例に、都市経済への参加浸透とペンテコステ派キリスト教の受容が同時期に進行したことに注目し、人びとが信仰と仕事という2軸のもとにいかに社会生活を再生産しているのか明らかにする。民族誌的調査により、客観的指標(家計活動)と当事者による意味付け(語り)の双方から分析する。これにより、経済と文化の相互関係を考えるための枠組とデータを提供する。
主な関連論文
青山和佳 受田宏之 小林誉明 初鹿野直美 東方孝之 宮地隆廣 『開発援助がつくる社会生活: 現場からのプロジェクト診断』 大学教育出版、2010.5.
青山和佳 『貧困の民族誌: フィリピン・ダバオ市のサマの生活』 東京大学出版会、2006.1.
ナイラ・カビール 著, 遠藤環・青山和佳・韓載香 訳 『選択する力――バングラデシュ人女性によるロンドンとダッカの労働市場における意思決定』 ハーベスト社、2016.4.
青山和佳 『貧困の民族誌: フィリピン・ダバオ市のサマの生活』 東京大学出版会、2006.1.
ナイラ・カビール 著, 遠藤環・青山和佳・韓載香 訳 『選択する力――バングラデシュ人女性によるロンドンとダッカの労働市場における意思決定』 ハーベスト社、2016.4.
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