平成20年度卒業式答辞
式辞・告辞集
第一部 平成21年3月24日 本日は教職員の皆様をはじめ、多くの皆様のご臨席の下、このように盛大な卒業式を催していただいたことに、卒業生一同心より御礼申し上げます。また只今小宮山総長より告辞のお言葉を賜りましたことに、重ねて御礼申し上げます。 第二部 平成21年3月24日 本日は、諸先生方並びに来賓各位の御臨席を賜り、盛大な卒業式を挙行していただき、また只今は総長先生からの暖かい訓辞と激励のお言葉を賜りまして、私たち卒業生一同、感謝の念でいっぱいでございます。 私たちを今まで育て、大学にまで通わせてくださった両親、家族の皆さん、学問の奥深さを示唆し、時にやさしく、時に厳しく、的確にご指導くださった先生方、共に学び、多くの時間を共有した学友、先輩、後輩の皆さん、そして、私たち若者に学びの場と機会を与えてくださったすべての皆様に、感謝の意を表明したいと思います。今日まで本当にありがとうございました。 春の風が爽やかなこのキャンパスに立ち、卒業という事実と対峙するとき、私たち一人ひとりの胸中には、さまざまな想いが去来しているに違いありません。 入学後間もなく、私は日中韓の学生の国際交流を目的としたビジネスコンテストを企画するサークルに所属しました。そこでの出会いと経験から、色々なものの見方や考え方の存在を知りました。大学生の身で起業している先輩に会ったときには衝撃を受けました。多くの社会人の方々に支援していただき、感謝を学びました。中国や韓国の学生とのやり取りの難しさに悩んだこともありました。友人と、互いに励ましあいながら徹夜をしたことも、一晩中喧嘩ごしの議論をしたこともありました。議論に議論を重ね、意思決定を積み重ね、コンテストを成功させました。 この活動を通して得たものは、ものごとを見る視点の多様性と、その視点を相対的に捉える力が、意思決定の質に大きく影響を与えているのではないか、という気付きでした。 文学部に進学後、専攻した社会心理学の研究のひとつに、意思決定に関するものがあり、視点の多様性と相対化に結び付けて、卒論のテーマとしました。実施した調査の結果、色々な人とのコミュニケーションを多くとる人は、自分を客観的に認知する視点を持ち、かつ相手の立場・視点に立って考えることができるため、他人の意見に安易に流されて行動を決めることが少ない、ということが、統計的に分かりました。 人は、人との意思疎通の中で、新しい視点を発見・客観化し、自分の判断軸のひとつとして血肉にするのだと思います。 今、日本の社会は、大きな転換点に到達しようとしています。法律、教育、医療、福祉、産業、金融、ありとあらゆる分野で戦後に作られた古いシステムが機能しなくなり、問題が起こっています。特に、金融の大河は、濁流となって実態経済を直撃しました。しかし私たちは、決して悲観論に屈しません。大きな変化の先に希望を見ます。私たちの世代は、瓦解した社会システムを、新しいパラダイムと一貫したコンセプトで再設計し、社会に浸透させていく役割を担っているのです。明治維新後に新しい日本を作った偉人たちように、活躍すべき時なのだと思います。 私は、4月から就職する会社で、金融の民主化という切り口からこの社会システム再構築に貢献していきたいと考えています。現状の資本主義やお金そのものに対するパラダイムを変えるのは容易なことではありませんが、決して逃げ出さず、視座を変え、視点を変え、解を創造していきたいと思います。その積み重ねが、私の人生を作るのでしょうし、そうやって未来は創造されていくものだと思われてなりません。 私たちは今日、この東京大学を卒業します。今後さらに学問の道に進む者も、実社会において職業上の目的に邁進する者も、明日からの人生の節目においてその都度、ここで学んだことの意義をかみ締め、それぞれの分野で活かし、一人ひとりが託された使命を精一杯果たします。 4年間、ありがとうございました。終わりに、皆様の御健康と東京大学の輝かしい発展をお祈りいたしまして、答辞とさせていただきます。 |
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