令和7年度 東京大学学位記授与式 祝辞(國部 毅 東京大学校友会 会長)

令和7年度 東京大学学位記授与式 祝辞

ただ今ご紹介に預かりました國部でございます。

東京大学校友会を代表いたしまして、本日学位記を授与される皆さま、そして、そのご家族の皆さまに、心からお祝いを申し上げます。

私は1976年に本学の経済学部を卒業し、現在は三井住友フィナンシャルグループの名誉顧問を務めておりますが、一昨年(2024年)7月から東京大学校友会の会長を拝命しております。

東京大学校友会は、2004年に発足した全学同窓組織でございます。

まだ歴史は浅いですが、300を超える団体会員と約25万名の個人会員によって構成される大きなコミュニティであり、毎年10月にホームカミングデイを東京大学と共同開催するなど、本学と会員の方々の相互のコミュニケーションを促進し、本学のさらなる発展を支援することを目的として活動しております。

ここにいらっしゃる皆さまを含めまして、本学の卒業生・修了生・在学生・教職員は全員が校友会の会員であります。

皆さまの中には、すでに校友会主催のイベントに参加された方もいらっしゃると思いますが、あまり馴染みのなかった方は、お手元の冊子に校友会の案内がありますので、是非ご覧ください。

さて、本日3月24日は「世界結核デー」。

1882年にドイツの医師ロベルト・コッホが結核菌の発見を公表した日だそうです。

本日は、このコッホと、「近代細菌学の開祖」と称されるフランスの科学者、ルイ・パスツールの関係から、社会課題の解決のための示唆を得てみたいと思います。

コッホとパスツールが活躍した時代のドイツとフランスの間には、普仏戦争後の対立感情があり、両者も協力関係にあったわけではありませんでした。

それにも関わらず、この二人の研究成果はとても補完的でした。

パスツールは、当時まだ明確な理由が解明されていなかった、「病気」の原因が微小な生物、つまり細菌であるとの説を唱えました。

その後、コッホが、結核菌などの人体に害を与える細菌の特定に成功し、病気を科学的に捉える道が大きく切り拓かれました。

病気の克服は、時代や人種、性別を問わない人類普遍の課題です。

コッホとパスツールの間には国境という壁がありましたが、同じ課題にそれぞれの立場から立ち向かい、その解決に全身全霊を捧げたからこそ、両者の研究成果が共鳴し、全人類に恩恵をもたらす発見に繋がったのではないでしょうか。

残念ながら、ヒト・モノ・情報が世界を行き交う現代においても、人々の考え方の違いや国・地域間の分断を意識する場面が少なくありません。

また、皆さんのなかには、これからさらに研究を深める方、社会に出る方、それぞれいらっしゃると思いますが、今後は、これまで以上に複雑な課題に直面することになるかと思います。

しかしながら、東京大学憲章にあるように、本学は、「あらゆる境(さかい)を超えた人類普遍の真理と真実を追究」する組織であり、皆さんはそこで学業と研究を修めてこられました。

今後も、本学で培った精神を忘れずに、一人ひとりがそれぞれの分野で社会課題の解決に、志高く、真正面から取り組んでいただきたいと思います。

皆さんのひたむきな努力が、いつか世界のどこかで同じ志を持つ人々と共鳴し、世界をより良い方向に導く、人類の大きな一歩に繋がることを確信しています。

様々な道で活躍される人と思いを共鳴させる方法として、同窓の仲間と交流を深めることも有用です。

是非とも、東京大学校友会のコミュニティを、皆さんの思いを共鳴させる場として、大いに活用していただければと思います。

最後に、皆さまの人生の門出を心よりお祝い申し上げますとともに、今後益々のご活躍をお祈りいたします。

改めまして、本日は誠におめでとうございます。

令和8年3月24日
東京大学校友会 会長
國部 毅

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