令和2年春の紫綬褒章受章

令和2年春の紫綬褒章受章

川上憲人教授、山内薫教授が令和2年春の紫綬褒章を受章いたしました。

川上憲人 大学院医学系研究科・医学部 教授

川上憲人教授

このたび、大学院医学系研究科・医学部の川上憲人教授が本年春の紫綬褒章を受章されました。

川上教授は、永年にわたって公衆衛生学・精神保健学の教育、研究に従事され、地域住民および労働者を対象とした多数の研究に基づき、わが国における心の健康問題の実態解明と対策立案に貢献されたことが評価されました。また、地域と職場における心の健康問題の研究者、実務家の育成にも貢献されました。特筆すべきこととして、世界精神保健調査日本調査によって地域住民の心の健康の実態解明とその対策立案に大きく貢献されたこと、および労働者の心の健康対策を推進するためのツールを数多く開発し平成27年に国の施策として導入されたストレスチェック制度にも大きく貢献されたことが挙げられます。さらに、日本産業衛生学会理事長、日本産業ストレス学会理事長、国際産業保健学会理事、国際行動医学会理事長などの要職を歴任し、学会の発展に多大の貢献をされました。これらの業績に対して、平成21年10月中央労働災害防止協会緑十字賞、平成24年11月日本産業ストレス学会学会賞、平成25年5月日本産業衛生学会学会賞、平成25年11月日本医師会医学賞、令和元年には厚生労働省大臣表彰をそれぞれ受賞されています。

新型肺炎による公衆衛生の危機に直面するさなか、公衆衛生学研究者・実践家にとって勇気づけられるニュースとなりました。このたびのご受章を心よりお喜び申し上げますとともに、川上先生の益々のご健勝とご活躍を祈念いたします。

(大学院医学系研究科・医学部 西 大輔)

山内薫 大学院理学系研究科・理学部 教授

山内薫教授

本研究科化学専攻の山内薫教授が、2020年4月29日の褒章発令において、学術・芸術・スポーツ分野で業績の著しい方を対象とする紫綬褒章を受章されました。

山内教授は、永年にわたって化学の教育研究に務められ、特に、構造化学、分子分光学、化学反応学に基づいた独創的な実験手法と理論手法を開発し発展させることによって、化学の分野における最も重要なテーマの一つである「分子の形が化学反応の過程でどのように時々刻々変化していくかを追跡する」ことを究明され、数々の学術的発見を通じて、基礎化学をはじめ、レーザー科学、原子分子光物理学の発展に貢献されました。特に、「光の場の中で原子・分子が如何にふるまうか」という問題に対して、分子内のクーロン場の大きさに匹敵する強度を持つ光の場の中において、分子の幾何学的構造が変化することや、分子内で特異な化学結合の組み換え反応が誘起されることなど、画期的な実験装置を次々と開発することによって実験的に明らかにされたばかりでなく、独創的な視点から理論研究を展開されました。そして、国際的なリーダーとして新たな学際学術研究分野「強光子場分子科学」を開拓され、現在のアト秒科学研究分野への発展に貢献されるとともに、高強度超短パルスレーザーを用いた超高分解能原子分子分光学の端緒を開かれました。また、山内教授は、光科学分野の産学間連携・大学間連携教育プログラム創設や学部教育の国際化を先導し、次世代を担う人材育成に多大なる貢献をされました。

山内教授の今回の御受章は、先駆的研究による基礎学術への国際的貢献と、優秀な若手人材を育成するリーダーシップが、高く評価されたものです。御受章を心よりお祝い申し上げますとともに、今後の益々の御活躍を祈念いたします。

(附属超高速強光子場科学研究センター 岩崎純史)
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