令和3年秋の紫綬褒章受章

令和3年秋の紫綬褒章受章

塚谷裕一教授が令和3年秋の紫綬褒章を受章いたしました。

塚谷裕一 大学院理学系研究科・理学部 教授

塚谷裕一教授

生物科学専攻の塚谷裕一教授が、学術・芸術・スポーツ分野で著しい業績を挙げた方に授与される紫綬褒章を受章されました。心よりお慶び申し上げます。

塚谷教授は、長年にわたり葉の形態形成に関する研究で世界を牽引してこられ、葉の二次元成長の基本メカニズムの解明や、自然界に見られる多様な葉の進化過程の解明など、植物学における優れた業績を挙げてこられました。

塚谷教授は、世界に先駆けてシロイヌナズナをモデル植物とした葉の形態形成の研究に着手し、葉の二次元成長が、縦横2方向のそれぞれで細胞数と細胞サイズを調節する4通りの制御を受けていることを示し、それぞれに関わる遺伝子とその機能をすべて解明しました。また、葉の平面成長をもたらすAN3と呼ばれるタンパク質が細胞間を拡散することで細胞増殖領域の空間配置が決まることや、葉の細胞数が遺伝的異常などにより減少すると、それを補うかのように細胞サイズが異常増大する「補償作用」を発見し、その制御機構を解明しました。こうしたモデル植物における葉の形態形成の基本理解を背景に、塚谷教授は植物の古典形態学分野における謎とされる風変わりな葉に着目し、アスパラガスの仮葉枝、食虫植物サラセニアの捕虫葉、葉に裏側の性質しかない単面葉、一生を一枚の葉で過ごすモノフィレアなどの進化過程を解明しました。さらに、国内外のフィールド調査により1つの新属、30の新種を含む44の植物の新分類群を命名しており、多様性生物学においても顕著な業績があります。

これらの優れた業績に対し、日本学術振興会賞、松下幸之助記念花の万博奨励賞、日本植物形態学会平瀬賞、日本植物学会学術賞、日本植物形態学会賞が授与されています。

この度のご受章を心よりお祝い申し上げますとともに、今後の益々のご活躍を祈念いたします。

(大学院理学系研究科 附属植物園長 川北 篤)

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