平成29年秋の紫綬褒章受章

平成29年秋の紫綬褒章受章

西田友是名誉教授、羽田正教授が、平成29年秋の紫綬褒章を受章いたしました。

西田友是 大学院新領域創成科学研究科 名誉教授

西田友是名誉教授

このたび、東京大学名誉教授の西田友是先生(元大学院新領域創成科学研究科複雑理工学専攻教授)が「コンピュータグラフィクス研究の功績」で本年秋の紫綬褒章を受章されました。

 

西田先生は、約半世紀にわたって情報科学の教育と研究に努め、コンピュータグラフィクス(CG)分野のパイオニアとして、基礎をなす手法を多数打ち立てました。今日のCGの基礎技術である光の相互反射を含む光学シミュレーション手法—ラジオシティ法—や、実物に即した様々な光源モデルによって照明された物体の陰影計算方法(シェーディングモデル)、大気や霧、雲、煙などの光を散乱する媒質によるボリュメトリックな照明効果の計算法を世界で初めて開発し、写実的な映像生成基盤を確立しました。さらには、世界で初めて宇宙空間から眺めた地球などの惑星の照明計算手法を開発しました。また、工業製品設計等での応用を目的として、曲面と光線との効率的で頑健な交点計算法を開発し、高精度な形状表現と写実性の両立を実現しました。そして、仮想世界を構築するためのもう一つの重要要素である音の生成に関しても先駆的な業績を残されています。

こうした手法は、様々な商用ソフトウェアの基盤技術として世界的に活用されており、映像産業だけでなく、科学的可視化、医療、ものづくりへの応用にも展開され、広範な分野に多大な貢献を果たしました。

 

こうした生涯に渡る貢献により、世界的に権威ある国際会議ACM SIGGRAPHおける最も名誉ある賞 Steven A. Coons 賞を2005年に受賞しました。この賞はCG界のノーベル賞とも呼ばれており、アジア圏からは初の授与という快挙でした。また、学会の要職を歴任し、学会の発展に多大の貢献をなしました。

西田先生は現在広島修道大学で教鞭をとるとともに、株式会社ドワンゴのCG研究所の所長に就任して研究活動を継続しています。

 

この度のご受章を心よりお慶び申し上げますとともに、先生のご健勝とますますのご活躍を祈念しております。

 
(大学院新領域創成科学研究科 楽 詠灝)

羽田正 東洋文化研究所 教授

本学理事・副学長、東洋文化研究所教授の羽田正先生が、本年秋の紫綬褒章を受章されました。

 

羽田先生は、イランを中心としたイスラーム圏の歴史研究、グローバリゼーションの時代を生きる世界の人々に世界市民としてのアイデンティティをもたらすことを目指す「新しい世界史」の提唱と実践などの分野で、国際的に広く知られた数々のお仕事を残してこられました。その業績は多数にのぼり、単著だけでも、Le châh et les Qizilbāš: Le système militaire safavide(1987)、『モスクが語るイスラム史』(1994)、『勲爵士シャルダンの生涯』(1999)、『イスラーム世界の創造』(2005)、『東インド会社とアジアの海』(2007)、『新しい世界史へ』(2011)があります。また羽田先生は、プリンストン大学、フランス社会科学高等研究院、ベルリン・フンボルト大学、ベルリン自由大学との連携のもと、国内外に開かれた研究プロジェクト「グローバル・ヒストリー共同研究拠点の構築(Global History Collaborative)」を組織されるなど、共同研究の実施にも積極的に取り組んでこられました。これらの優れた業績に対し、日本オリエント学会奨励賞(1988年)、毎日出版文化賞(2002年)、アジア・太平洋賞特別賞(2006年)、アジア太平洋出版協会出版賞学術書部門銀賞(2010年)、ファーラービー国際賞(2010年)という内外の学術賞を受賞されています。

 

羽田先生は東洋文化研究所所長、また副学長、理事として、本学における研究教育活動、なかでもその国際面での発展に多大な寄与をなさってきました。また、内閣総理大臣官邸「20世紀を振り返り21世紀の世界秩序と日本の役割を構想するための有識者懇談会」委員や日本ユネスコ国内委員会委員を務めるなど、有識者としての社会貢献も積極的に行ってこられました。

 

羽田教授のこのたびの受章を心よりお慶び申し上げますとともに、今後のご健勝と益々のご活躍を祈念いたします。

 
(東洋文化研究所 桝屋友子)
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