平成30年度文化勲章受章

平成30年度文化勲章受章

金子宏名誉教授が、平成30年度文化勲章を受章いたしました。

 

金子宏 大学院法学政治学研究科・法学部 名誉教授

金子宏名誉教授

今秋、長年にわたる租税法の研究・教育および税制改革への貢献により、金子宏名誉教授が文化勲章を受章されました。

金子先生は東京大学法学部を1953年に卒業され、法学部助手、助教授を経て、1966年に教授となられ、1991年に東京大学を退職されました。その後、横浜国立大学教授、学習院大学教授、東亜大学教授を務められています。

金子先生は、租税法という学問分野の創設者です。現代税制の中心である所得税・法人税の基礎を成す所得概念の研究にすでに1960年代から取りかかり、これを理論的に完成させて、世界的な業績をあげられました。そして、課税要件(それを充足することによって租税債務が発生する要件のこと)を研究の中心に据えることで、租税法を独立の学問分野として確立されました。1972年には租税法学会を創立され、初代理事長として研究者相互の交流を促進されました。さらに、私法と租税法の関係を究める卓越した研究を次々と展開され、これらを体系化して立法・裁判・実務をリードされました。とりわけ、制度設計の基礎となる立法政策的な視点を早くから法律学に導入された点は、その後の学界に大きな影響を与えています。

金子先生は、研究・教育と並び、租税制度の改善のためにも力を尽くされています。長期にわたり税制調査会の審議に参加され、1988年の抜本税制改正の基礎となった答申の作成においても中心的役割を果たされました。他にも、利子所得課税の適正化、移転価格税制の導入、固定資産税の改革、公益法人制度の改革、国際連帯税の提案など、先生のご貢献の例は数え切れません。新興国から税務職員を日本の大学院に招くプログラムの創設を主導されたことも、特筆すべき事実です。

今回の文化勲章を機に、金子先生は社会全体に対しさらに大きな指導的影響を与えていかれることと存じます。ますますのご健勝とご活躍をお祈り申し上げる次第です。

(大学院法学政治学研究科・法学部 増井良啓)
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