UGIP ソフトバンク(株)企画イベントレポート


東京大学グローバル・インターンシップ・プログラム(UGIP)
ソフトバンク(株) 企画【イベントレポート】
2024年11月28日(木)学生起業についていろいろ聞いてみよう!若手経営者、社会人との交流会
2024年11月28日(木)、東京大学グローバル・インターンシップ・プログラム(UGIP)主催による、若手経営者・社会人・東京大学学生との交流イベント「学生起業についていろいろ聞いてみよう!」が、東京大学駒場キャンパス 21KOMCEEレクチャーホールにて開催されました。
当日は、学生時代に起業を経験し、現在活躍中の若手経営者による講演と参加者との交流が行われ、さらに来年2025年3月に予定されている「ソフトバンク株式会社企画グローバル・インターンシップ参加権争奪データハッカソン」のプレイベントとして、データハッカソンに向けたチームアップを視野に入れた盛りだくさんの内容となりました。

東京大学の学生の中には学生起業に関心を持つ方が非常に多く、今回のイベントでは、実際に学生時代に起業した若手経営者が当時のエピソードや熱いパッションを語ってくださり、会場は終始活気と熱気に包まれていました。
以下、当日の講演内容や質疑応答の様子をレポートします!
株式会社アレスグッド 代表取締役CEO 勝見 仁泰氏 講演

株式会社アレスグッドは「BaseMe(ベイスミー)」という、社会を良くしたいという想いを持つ求職者と、その価値観を共有する企業とのマッチングを目指すサービスを開発中です。ユーザーの価値観を深く掘り下げ、価値観軸の情報やユーザー検索機能を「価値観の検索エンジン」として展開していくことをビジョンとしています。
勝見氏は大学3年生(22歳)の時に起業し、現在4期目の経営者です。幼少期は家庭が貧しく、小学校に通えないほどの状況で日本語もままならない生活を送っていたそうです。そうした経験から言語への課題感を抱くとともに、幼いころからインターネットに関心を持っていました。就職活動の際、「自分にマッチする企業が見つからない」という課題を感じ、自ら起業に踏み切ったとのことです。
当初は「お金がない」「人脈がない」という学生起業ならではの苦労があったものの、海外カンファレンスに足を運び、「1分でいいのでお話を聞いてください」と頼み込むなど、地道な行動で仲間や投資家とのネットワークを築き上げたといいます。
勝見氏は、「AI時代には汎用的なスキルがリプレースされていく中で、AIには解けない人間らしさや価値観に根ざした意思決定がより重要になる」と語りました。これからの時代、人は価値観や好きなことを軸に動くようになり、人間らしい本質的なマッチングが求められるとのことです。
最後に、「Unleashing the Values of people and Connect.(人類の価値観を解放して繋げる)」というビジョンを掲げ、その人の「好き」をテクノロジーで引き出したいと述べ、「いつでも壁打ちや相談に乗るので気軽に声をかけてほしい」と参加者に呼びかけました。
株式会社REGAL CORE 代表取締役 田之上 隼人氏 講演

株式会社REGAL COREは、薬機法(医薬品、医療機器等の品質・有効性・安全性確保に関する法律)、景品表示法、特定商取引に関する法律(特商法)などのコンプライアンスに特化したコンサルティング・テックサービスを提供している会社です。近年はAI技術を活用し、より広義に法務が取り組む業務を再定義し、サービス展開を進めています。
同社は2021年4月に設立され、現在5期目のスタートアップ。シリーズAの資金調達を進行中で、法律事務所や広告代理店を巻き込みながら事業を加速させています。
田之上氏は、大学生だった2009年頃は今とは全く異なる起業環境だったことを紹介。当時、起業のきっかけを求めていた氏は大学近くのバーでアルバイトをしていた際、大手出版社関係者からコールセンター事業をやってみないかと誘われ、大学4年生時に1年間限定で自宅コールセンター事業にチャレンジ。その後、アパレル・広告業界で10年間働き、33歳で現事業を起業したそうです。
現在は「圧倒的に起業しやすい時代」になっており、CVCやVCによる資金調達が当たり前の環境が整っています。SNSの発達やエンジェル投資の活況により、必要なリソースや情報が揃っている中、「必要なのは勇気だけ。やると決めて、やりきる!」というメッセージを学生たちに送りました。
アイデアやマーケットの捉え方がわからない場合でも、フレームワークを活用してまずは実行してみることが重要であり、イベント後には実際に学生と「壁打ち」を行う場も用意していただきました。
SBイノベンチャー株式会社 松尾 拓弥氏 講演

SBイノベンチャー株式会社は、ソフトバンク社内で新規事業を創出する「ソフトバンクイノベンチャー」を運営し、新規事業立案者へのメンタリングやワークショップを行っています。最終審査を通過した案を事業化し、ソフトバンクのアセットを活用してスケールさせる取り組みを支援しています。
同社の社内起業制度は2011年にスタートし、2024年で13年目。これまで7,800件の事業提案から116件の事業化検討、21件の事業化実績を残しています。UGIP学生コミュニティで利用している「Axross Recipe」も、SBイノベンチャー発のスタートアップ事業として誕生した例の一つです。
社内起業制度「Innoventure Lab」と「Innoventure Studio」という二つの仕組みを通じて1年間の期限と緊張感を持ちながら事業創出を行っており、クリアできない案は即撤退するシビアな環境が、新規事業を効率的かつ確実に推し進める原動力になっていると紹介されました。
質疑応答・フリーディスカッション

講演後の質疑応答・ディスカッションでは、起業家への仲間集めや資金調達の具体的な手法、モチベーション維持、将来へのビジョン設定など、さまざまなテーマについて活発な議論が交わされました。
勝見氏は、自身が実践してきた“毎週100ドアノック”という取り組みを紹介しました。これは、メールやSNSを通じて100人に声をかけ、そのうち4人ほどから返信が来れば上出来という、地道な活動を重ねる手法です。
また、「学生起業では気を使いすぎず、失敗を恐れず行動することが重要」と強調しました。
起業家にとって重要なのは“Zero to One”、すなわちゼロから何かを生み出すこと。情報を集めるだけではなく、目の前に課題を抱えている人がいれば、まずは会いに行くことが大切。
プロダクトや仲間がいなくても、まずはユーザーに会いに行くことが、起業のファーストステップであると語られました。
また、事業アイデアについて「なぜそれを自分がやらなければならないのか」という問いに答えが見つからない場合、使命感がなければ大きな成長を遂げることは難しく、途中で挫折する可能性が高いとも指摘しました。
最初は小さな収益を目指すところから始め、途中で自分の本当にやりたいことを考えるようになる、と述べました。
資金調達の課題については、「銀行やデットファイナンスは夢のようなものであり、資金はその人の世界観に対して預けられるもの」と説明しました。
日本では過去に所属していた組織と経験をアピールする人が多いですが、シリコンバレーでは未来へのビジョンが重視されます。
時価総額も未来に基づいて評価されるので、自分がFacebookにいたとか、リクルートにいたとか、マッキンゼーにいたとかは関係なく、身に着けるべき自信は未来に向けた信念から来るべきであると強調しました。
最後に、「自分が何をしていて楽しいのか」「自分はミッションで動くタイプなのか、それとも目の前のやりたいことで動くタイプなのか」「どの程度コミットできるか」を知ることが、起業家として成功するために重要であると述べました。
懇親会の様子

講演会後、隣接するMMホールでは、勝見氏、田之上氏、松尾氏、社会人ゲスト、そして東京大学の学生らを交えた懇親会が盛大に行われました。
美味しい食事を囲みながら、起業や新規事業に関する熱い「壁打ち」や相談が続き、終始賑わいを見せました。終了後も参加者がなかなか帰らず、会場の外で語り合う様子から、「とても楽しかった」という声が自然と聞こえてきました。
今回のイベントを企画し、学生の皆さんがこれほど熱心に起業や新規事業に関心を寄せていることを肌で感じられたことは大変有意義でした。UGIPソフトバンク企画として、今後も皆さんの想いを応援する様々な企画を行っていく予定です。
ぜひ次回イベントにもご参加ください。皆さまとまたお会いできることを楽しみにしております。
【問い合わせ先】
東京大学 グローバル・インターンシップ・プログラム担当UTokyo Global Internship Program(UGIP)
〒113-8654 東京都文京区本郷7-3-1
東京大学 社会連携部内
E-mail: global-internship.adm@gs.mail.u-tokyo.ac.jp
電話:03-5841-2541
◆他にもプログラムを開催しております。こちらも併せてご検討ください。