Cross Talk 2022 創りたい、挑みたい、語りたい東京大学

ダイバーシティ
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グローバル

様々な部署で業務経験のある先輩職員のお二人に、東京大学職員として創りたい、挑みたい、語りたい未来や使命感について語っていただきました。

人事部ダイバーシティ推進課 課長

プロフィール

大学卒業後、民間企業を経て、東京大学に入職。最初の配属は、本部の経理部。その後、部局で国際や学務の業務を担当。本部での研究支援、広報、渉外、教育・学生支援等の部署を経て、2019年4月から現職。この間、文部科学省での勤務、短期海外研修を経験。また、係長時代に育児休業を取得。

※以下、T

※所属は掲載当時のものです。

経営企画部国際戦略課 国際戦略チーム 係長
(兼秘書チーム係長)

プロフィール

大学卒業後の2008年4月に入職。カブリ数物連携宇宙研究機構で外国人研究者の受入・定着支援業務を担当。経営支援部企画課で秋入学や総合的教育改革などの全学事業に従事したのち、教養学部教務課で同改革の実装化を担当。その後、五神総長秘書を経て2019年1月から現職。主に海外大学や国際機関との連携強化を担当している。

※以下、F

※所属は掲載当時のものです。

これまで関わった仕事で東京大学の多様性(構成員(学生・教職員 等)の多様性や東京大学職員の活躍のフィールドの幅広さ等)を感 じた経験について教えていただけますか?

F : 採用直後に配属されたカブリ数物連携宇宙研究機構は、世界トップレベルの研究拠点を目指して2007年10月にできたばかりの組織でした。東京大学の「出島」として、今までにない国際性豊かで卓越した研究環境を作るぞ!とみんなが意気込んでいました。私のチームの仕事は、外国人研究者が、日本語を話せなくても何不自由なく研究に邁進できるよう、入国・滞在・出国までのトータルサポートをすること。ビザの取得、雇用手続き、社会保険の加入、家探し、研究資金の獲得、講演会、育児、通院など、通訳も兼ねつつ、様々な部署の職員と協力して業務にあたりました。日頃接する研究者の文化的な背景の多様さもさることながら、人事、財務、研究支援など東京大学の業務の幅広さを実感しました。

T : 大学が社会や人類の課題に取り組むために、学部や研究所の垣根を越えて、分野を横断した連携研究機構といった組織ができてきた頃ですね。 私も同じ時期に、サステイナビリティ学連携研究機構(現在、未来ビジョン研究センターに組織統合)の事務局を担当していました。印象に残っているのが、2008年の北海道洞爺湖サミットに合わせて、東京大学や北海道大学の呼びかけで初めて開催された大学サミットに携わったことです。世界中から研究者が集って、サステイナビリティ(持続可能性)という全人類に関わる課題に対して、大学の責務と取り組みについて議論しました。研究者だけでなく、国際機関や企業の方とも一緒に議論をし、「札幌サステイナビリティ宣言」としてまとめました。この経験が、その後の大学職員としての考え方や方向性に影響したと思います。

F : 手塚さんはこれまで、広報や学務、社会連携など様々な分野の業務を経験されている印象がありますが。

T : そうですね。様々な分野の業務を経験することで、視野が広がったように感じています。採用面接で、志望動機として「社会の中の大学」というテーマで話した記憶があります。どのように大学から外に発信するのか、また、どのように外から大学が見られているのか、ということが常に自分の中にあります。自分の関心に近い部署で仕事ができているのはありがたいです。

そうした経験を経て、現在はどのような仕事をされていますか?

F : 国際戦略課で大学全体を国際的にプロモーションする仕事をしています。最近は東京大学の研究の面白さや奥深さを世界に発信し、より良い未来社会創りに向けて一緒に連携する仲間を増やすための新しい事業の立ち上げに関わりました(Tokyo Forum、東京カレッジ、現代日本研究センター)。どの事業もサステイナビリティが中心的なテーマです。いろんな分野の研究者と事業を進める中で、あらためて東京大学の学術の多様性を実感するとともに、組織を越えて多様な人々の協力を得ながら仕事を進めていくことの大事さを実感しています。

T : スタートが国際研究拠点で、今は一つの拠点ではなく大学全体をプロモーションする仕事をされていますね。自分の中では仕事の繋がりをどのように感じていますか。

F : そうですね、今の仕事のテーマは、「個」の活動の強みを「大学全体」の強みに繋げる仕組みをどう作るかということですので、最初に研究活動の現場で研究者に寄り添った仕事を体験できたことが大きな糧になっていると思います。

T : 私は、ダイバーシティ推進課で人の多様性に関する仕事をしています。東京大学には、男女比のアンバランスさや、少数派の構成員、外国人や障害者、LGBTQなどインクルーシブなキャンパスに向けて課題がたくさんあります。こうした問題は、ダイバーシティ推進課だけで解決できるものではありません。一人一人の構成員の意識が重要です。時間はかかるように思えますが、多様性を考える構成員が増えることこそがダイバーシティへの近道だと思います。

F : 世界に目を向けると、意識的に多様性を大事にする姿勢を感じます。例えば3,000人を超える各界のリーダーが集まるダボス会議。五神総長に同行して出張させてもらった時に特に印象的だったのは、女性の参加者の多さです。一方、アジア系の大学は東京大学もそうですが、男性が多かったです。

T : 最近「東京大学百年史」※1を読み、東京大学設立と同時期の明治10年に創刊された学術誌「学芸志林」の中で東京大学の学芸の多様さについて言及されていたことを知りました。東京大学は、創設当初から知の多様性を大事にしていたのですね。時代は移り、社会の課題もグローバルにとらえなければいけなくなっています。知の多様性のためにも人の多様性が重要になってきているのではないでしょうか。

今後の東京大学の姿についてどうお考えですか?

F : 濱田元総長の「初夢」※2をご紹介したいと思います。10年前に書かれた未来の東京大学の姿ですが、今でも新鮮で、心が動かされます。ダイバーシティや国際化のことなど、この1枚に東京大学の課題と希望が詰まっています。東京大学のウェブサイトに掲載されているので、ぜひ皆さんにも読んでいただきたいです。こうしたエネルギー溢れる素晴らしい未来のキャンパスを作ることに貢献したいです。

T : 私も「初夢」はとても印象に残っています。初夢では一兆円の基金の話が出てきますが、五神総長のもとでは、大学債の発行や新たな産学協創のしくみの構築など、自律的な大学の経営に向けた取り組みが次々に進んでいます。さらに、オンライン授業の展開でオンライン上でのグローバル化は急速に進むでしょうし、当時では想像もできなかったところに行けるかもしれないですね。

F : ここに描かれているようなキャンパスをみんなで目指していきたいですね。

最後に、東京大学職員を目指す方に期待することをお聞かせください。

F : 「人との関係を大切に、誠実な姿勢で業務にあたること」、「自分と異なる考えを否定せず、そこから新しい発見を得ようと常に努力すること」、「楽しく働くこと」を心がけていただきたいです。

T : 自分の中に多様な視点を持って欲しいなと思います。違うことを受け入れるパワーとしなやかさがある職員が理想ですね。東京大学は、職員も学んだり成長できる場所だと思うので、ぜひチャレンジ精神旺盛な方に来ていただき、自分を高めながら、東京大学の未来を一緒に作っていきましょう。

※1 「東京大学百年史」
東京大学創立百年(1997年)の記念事業の一つとして刊行されたもの。
https://www.u-tokyo.ac.jp/adm/history/03_03_j.html

※2 「初夢」
濱田純一元総長著「東京大学 知の森が動く」(東京大学出版会)のコラム。
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/president/forest2015.html