令和7年度 東京大学大学院入学式 祝辞(國部 毅 東京大学校友会 会長)

令和7年度 東京大学大学院入学式 祝辞

ただ今ご紹介に預かりました國部でございます。東京大学校友会を代表いたしまして、この度東京大学大学院に入学された皆様、そして、そのご家族の皆様に、心よりお祝いを申し上げます。

私は1976年に本学の経済学部を卒業し、現在は三井住友フィナンシャルグループの会長を務めておりますが、昨年7月からは、東京大学校友会の会長を拝命しております。

東京大学校友会は、2004年に発足した全学同窓組織でございます。本学の卒業生・修了生・在学生・教職員の方すべてが会員資格を有しますので、東京大学を卒業された方々は既に会員でいらっしゃいますし、東京大学以外の大学を卒業された方々も、この度の大学院入学を経て会員となられます。校友会会長として、新しく会員に加わった皆様を心から歓迎いたします。

本日配布のリーフレットに校友会の案内が記載されておりますので、後ほどお読みいただければと存じます。是非、校友会が開催する会合に積極的に参加し、仲間との交友を広げてください。

さて、午前中の学部の入学式では、新たに大学生になる方々に、「幅広い学問に触れて、世界をみつめる目を養って欲しい」とお伝えしました。世界は今、大きなパラダイムシフトを迎えていますが、大学院に入学される皆様は、こうした変化していく世界をみつめる目を、既にお持ちだと思います。したがいまして、大学院生活では一歩踏み出し、「Animal Spiritsを発揮して、新たな挑戦に果敢に取り組む」ことを、心がけていただきたいと思います。

Animal Spiritsは、ビジネスの世界でよく使われる言葉ですが、東京大学憲章が掲げる教育の目標に、「国際性と開拓者的精神をもった、各分野の指導的人格を養成する」と謳われているように、新しいことに挑む精神の重要性は、研究や学術の世界にも通じるものがあります。

現在、テクノロジーの分野では、生成AIが瞬く間に世界に普及し、ビジネスのあり方を変えつつあります。これまでも、ワクチンが医療を変え、インターネットがコミュニケーションを変えてきました。また、技術だけでなく、経済・社会に対する深い洞察と新たな視点は、人々の行動や政策の変化を促してきました。このような世界を変えるイノベーションは、いつも誰かのAnimal Spiritsから生み出されています。

Animal Spiritsがイノベーションを生み出すのは学問以外の領域でも同様です。例えば、昨年、作曲家のショパンによる未発表作品が、約200年の時を経て新たに発見された、というニュースがありました。ショパンと言えば、伝統的なクラシックの音楽家、という印象を持ちますが、当時は、個性的で革新的、と評されていたそうです。既成概念にとらわれず、Animal Spiritsでもって新しいスタイルを創造したことで、音楽の世界を変え、時代を超えて愛される作曲家になりました。

皆様は、大学院で様々な専門領域で研究を深められます。是非、それぞれの領域でAnimal Spiritsを発揮してください。

たとえ一朝一夕に大きな成果に繋がらなくても、新しいテーマに果敢に挑戦した経験は、修士課程を修了した後も、それぞれの道で活躍するための糧になるでしょう。

皆様一人ひとりが、大学院でAnimal Spiritsを発揮して挑戦する、その積み重ねが、世界をより良い方向へと変えていくチカラになると確信しております。

最後になりますが、皆様が健康で充実した大学院生活を送られることを祈念し、お祝いの言葉とさせていただきます。

改めまして、本日は誠におめでとうございます。

令和7年4月11日
東京大学校友会 会長
國部 毅

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