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第125回(平成29年春季)東京大学公開講座
「爆発」

■開講にあたって

 皆さん、東京大学公開講座へようこそ。「東京大学公開講座」は本学の学術研究の成果を教員が直接皆さんへお伝えすることを目的としています。毎年総括テーマを決めて、教員が関連する研究をわかりやすく解説し、研究の極みと感動をお届けします。今回のテーマは、「爆発」です。
 爆発は、自然界及び人類社会のあらゆる場面で見られます。私たちが住むこの宇宙は、すべての物質とエネルギーが一点に集まった超高温・超高密度の状態から急速に膨張する大爆発で始まったと考えられています。また恒星内における核融合反応や巨大な恒星の終末である超新星爆発など、宇宙はその始まりから今でも爆発現象に満ちています。地球上においても、火山の爆発的噴火、隕石の衝突など、莫大なエネルギーの放出を伴う爆発現象が頻繁に起きており、生物が生存の危機にさらされることもしばしばありました。しかし一方、人類は爆発現象を理解し、制御することで、爆発により放出される莫大なエネルギーを手に入れ、活用できるようになりました。爆発を精密に制御することで、エンジンの高性能化、ロケット、原子力発電などが実現しました。一方、爆発という単語は物質や気体の膨張のみならず、急速に増大する状況の比喩として様々な場面で用いられます。例えばカンブリア紀における多様な生物種の急速な出現はカンブリア爆発と呼ばれ、この他にゲノムデータ、人口、疾病、計算量やデータの急激な増加も爆発という言葉が当てられます。もちろん政治や経済の分野でも使われています。爆発は決してネガティブな事象を指すものではなく、それを研究し、理解することでパラダイムシフトがもたらされることもあります。最初にあげた宇宙創成のビッグバンはもちろんのこと、カンブリア爆発の研究によっては、新しい進化多様性の概念が生まれています。
 今回の公開講座では、自然科学、工学、人文・社会科学、医療などの分野で爆発現象を研究する9名の研究者に登場してもらいます。爆発現象の本質からその応用、そして人類社会へのインパクトまで、皆さまと一緒に考えてみたいと思います。
平成29年4月
第125回東京大学公開講座企画委員会
委員長 武田 洋幸
(東京大学大学院理学系研究科長)

開催日時・プログラム


SCHEDULE/PROGRAM
DAY1 | 爆発の本質
6月3日(土)
時間講義題目講師所属・職名
12:50-13:00開講の挨拶武田 洋幸企画委員長/理学系研究科長
13:00-13:50「ガス爆発・粉じん爆発の現象解析と防御技術」土橋 律工学系研究科 教授
14:10-15:00「資産バブルと爆発」柳川 範之経済学研究科 教授
15:20-16:10「重力波でさぐる宇宙の大爆発」安東 正樹理学系研究科 准教授
16:20-17:10総括討議横山 順一理学系研究科 教授
DAY2 | 爆発と社会
6月17日(土)
時間講義題目講師所属・職名
13:00-13:50「硝煙のなかの中国史」吉澤 誠一郎人文社会系研究科 准教授
14:10-15:00「感染爆発:インフルエンザパンデミック」堀本 泰介農学生命科学研究科 教授
15:20-16:10「AI for science: データと計算量の爆発」岡田 真人新領域創成科学研究科 教授
16:20-17:10総括討議戸塚 護農学生命科学研究科 准教授
DAY3 | 爆発への対応
7月1日(土)
時間講義題目講師所属・職名
13:00-13:50「政治への不満が爆発するとき-トランプ現象を事例として」久保 文明法学政治学研究科 教授
14:10-15:00「ゲノムデータ爆発とアルゴリズム」渋谷 哲朗医科学研究所 准教授
15:20-16:10「火山噴火と災害」中田 節也地震研究所 教授
16:20-17:10総括討議受田 宏之総合文化研究科 准教授
17:10-17:20閉講の挨拶松木 則夫理事・副学長

インターネット動画公開


UTokyo.TV

公開講座の講義をインターネットで公開しています。

ガス爆発・粉じん爆発の現象解析と防御技術土橋 律
2017年6月3日
資産バブルと爆発柳川 範之
2017年6月3日
重力波でさぐる宇宙の大爆発安東 正樹
2017年6月3日
硝煙のなかの中国史吉澤 誠一郎
2017年6月17日
感染爆発:インフルエンザパンデミック堀本 泰介
2017年6月17日
政治への不満が爆発するとき-トランプ現象を事例として久保 文明
2017年6月17日
ゲノムデータ爆発とアルゴリズム渋谷 哲朗
2017年7月1日
火山噴火と災害中田 節也
2017年7月1日

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