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第133回(2021年秋季)東京大学公開講座
「繋がる」
第133回(2021年秋季)東京大学公開講座「繋がる」
開催日時・プログラム
SCHEDULE/PROGRAM
時間 | 講義題目 | 講師 | 所属・職名 |
---|---|---|---|
12:50-13:00 | 開講の挨拶 | 須田 礼仁 | 企画委員長/情報理工学系研究科長 |
13:00-13:40 | 「子どもたちは繋がれるか―インクルーシブ教育の課題と展望」 | 小国 喜弘 | 教育学研究科 教授 |
13:55-14:35 | 「人と社会を繋いで超高齢社会を支える情報学」 | 檜山 敦 | 先端科学技術研究センター 特任准教授 |
14:50-15:30 | 「人を理解し人をつなげるロボティクス」 | 長井 志江 | ニューロインテリジェンス国際研究機構 特任教授 |
15:45-16:35 | 総括討議 | 葛岡 英明 | 情報理工学系研究科 教授 |
時間 | 講義題目 | 講師 | 所属・職名 |
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13:00-13:40 | 「死生学と応用倫理における「繋がり」という課題」 | 池澤 優 | 人文社会系研究科 教授 |
13:55-14:35 | 「隔離によりつながる命:中国のCOVID-19対応を中心に」 | 金 貝 | 公共政策学連携研究部 講師 |
14:50-15:30 | 「遠隔医療分野に求められる医療機器・システム」 | 佐久間 一郎 | 工学系研究科 教授 |
15:45-16:35 | 総括討議 | 藤原 聖子 | 人文社会系研究科 教授 |
時間 | 講義題目 | 講師 | 所属・職名 |
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13:00-13:40 | 「ともに建築することを介して繋がる」 | 岡部 明子 | 新領域創成科学研究科 教授 |
13:55-14:35 | 「ポストコロナ時代の建築・都市空間の役割」 | 加藤 耕一 | 工学系研究科 教授 |
14:50-15:30 | 「記憶を未来につなぐデジタルアーカイブ」 | 渡邉 英徳 | 情報学環 教授 |
15:45-16:35 | 総括討議 | 有馬 孝尚 | 新領域創成科学研究科 教授 |
16:35-16:45 | 閉講の挨拶 | 津田 敦 | 執行役・副学長 |
インターネット動画公開
UTokyo.TV
2021年11月13日
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■開講にあたって
新型コロナウイルス感染症が地球上のあらゆる場所で猛威を振るうことになった原因の一部に、空路による高速移動の確立、国際的な人流の激増、そして都市への人口の集中があると言われています。長年の努力によって人々が自由にまた便利に繋がる社会が実現され、それが現代の国際経済にとって欠かせない基盤なのですが、図らずもそれをウイルスに利用されてしまいました。人々の繋がりによる経済社会活動と感染症対策とは、両立することができるのでしょうか。そして、どうすれば可能になるのでしょうか。
一方で、情報通信機器とインターネットを使って、バーチャルに人と会う機会が激増しました。情報機器の扱いが得意でない方々には大変かもしれませんが、最小限の意思疎通ができます。そして、世界中の人とつながることができるなど、工夫次第でいろいろな可能性があることも発見しました。しかし、対面で会うこととは異なる、オンラインの限界もまた実感しました。
オンライン会合には、何が欠けているのでしょう。それは仮想現実や拡張現実などの技術によって克服できるのでしょうか。この問いの答えは、「人の繋がりの本質は何か」という深淵な問題へとつながっています。すなわち、人格の形成や、人と心理と社会・環境の関係といった根本問題に取り組む必要があり、それには文理の両面からの挑戦が必要です。
他方で、新型コロナウイルス感染症拡大の前から、人々の分断が目立つようになってきたと指摘されています。格差の拡大と人々の分断、多国間の経済的対立や軍備拡張による脅威、複数の国での武力による権力掌握など、国内・国際の社会制度に危うさが目立ちます。
しかし、歓迎すべき動きもあります。国連のSDGsが広く認知され、またあらゆる場面での包摂性の重要さが認識されつつあり、性の多様性などを受け入れる流れが生まれています。温暖化対策でも各国が歩み寄りをし、真剣な議論が始まっています。わたしたちの社会と国際社会は、分断や対立を乗り越えて、お互いを認め合い尊重しあう繋がりを構築・強化できるのでしょうか。
「人間は社会的な動物である」と言ったのはアリストテレスだといいますが、「人は繋がりを必要とする動物である」とも言えるのではないでしょうか。今回の公開講座では、人が本質的に必要とする「繋がる」ことの本質を、人間と心と機械、人間の繋がりの過去・現在・未来、そして人を繋げる最先端の研究成果から、展望したいと思います。
第133回東京大学公開講座企画委員会
委員長 須田 礼仁
(情報理工学系研究科長)