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第135回(2022年秋季)東京大学公開講座
境界
第135回(2022年秋季)東京大学公開講座
境界
開催日時・プログラム
SCHEDULE/PROGRAM
時間 | 講義題目 | 講師 | 所属・職名 |
---|---|---|---|
12:50-13:00 | 開講の挨拶 | 山本 隆司 | 企画委員長/法学政治学研究科長 |
13:00-13:40 | 「自然科学と人文社会科学の境界」 | 隠岐 さや香 | 教育学研究科 教授 |
13:50-14:30 | 「植物と動物の融合から生じる研究と倫理の境界」 | 松永 幸大 | 新領域創成科学研究科 教授 |
14:40-15:20 | 「細胞の境界、細胞膜と脂のお話」 | 青木 淳賢 | 薬学系研究科 教授 |
15:35-16:25 | 総括討議 | 遠藤 智子 | 総合文化研究科 准教授 |
時間 | 講義題目 | 講師 | 所属・職名 |
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13:00-13:40 | 「国の「競争力」と貿易利益:「競争力」のフラクタル構造」 | 古澤 泰治 | 経済学研究科 教授 |
13:50-14:30 | 「「境界」を巡るウクライナ侵略戦争」 | 遠藤 乾 | 法学政治学研究科 教授 |
14:40-15:20 | 「農地と森林の境界:農業限界地の環境造林」 | 則定 真利子 | 農学生命科学研究科 准教授 |
15:35-16:25 | 総括討議 | 近藤 高志 | 先端科学技術研究センター 教授 |
時間 | 講義題目 | 講師 | 所属・職名 |
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13:00-13:40 | 「グローバル化と国境なき感染症対策」 | Moi Meng Ling | 医学系研究科 教授 |
13:50-14:30 | 「移民からみる境界の現代的変容」 | 髙谷 幸 | 人文社会系研究科 准教授 |
14:40-15:20 | 「オスとメスの境界を越える魚たち」 | 大久保 範聡 | 農学生命科学研究科 教授 |
15:35-16:25 | 総括討議 | 宍戸 常寿 | 法学政治学研究科 教授 |
16:25-16:35 | 閉講の挨拶 | 津田 敦 | 執行役・副学長 |
※プログラムの変更もしくは休講する場合があります。予めご了承ください。
インターネット動画公開
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2022年11月12日
2022年11月12日
2022年11月19日
2022年11月19日
2022年11月26日
2022年11月26日
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■開講にあたって
細胞の境界など、自然界には様々な境界があります。境界は人間社会においても、同質的な存在をひとくくりにまとめ、異質な存在との間に線を引いてきました。例えば、「社会」それ自体が、「我々」と「他者」を分ける境界によって定義されています。
そして昨今、境界は改めて重要なテーマとして注目を浴びています。
例えば国境は、ひとつの統治権力と、別の統治権力の境界です。国境の現状維持は第二次世界大戦後の国際秩序の基礎でしたが、2022年2月にロシアが国境を越えてウクライナに侵攻したことは、そのような前提を大きく揺るがすものでした。秩序をもたらす境界をいかに維持するのかは、現代の課題であり、学問的な問いでもあります。
他方で、ジェンダーという社会が設ける性の境界もあります。生物学的に見ても実に多様な性を持つ人間を、男性と女性の二つの集団に分け、男らしくあれ、女らしくあれと要求するジェンダー規範は、実は人々の自由を縛るものではないでしょうか。こうした認識に基づいて、東京大学は目下、ダイバーシティ&インクルージョンに精力的に取り組んでいます。
2020年春以来のコロナ禍もまた、境界の問題といえます。新型コロナウイルスは、動物と人間の境界線を破るとともに、人体という境界を超えて体内に侵入し、閉鎖された国境を跨いで世界的に拡散しました。社会における防疫と、身体における免疫は、ともに、境界線を守ろうとする機能だと考えることもできます。
このような例について考えるだけでも、境界は実に多くの学問分野と関わっていることが分かります。そして、学問研究によって、境界が認識されるだけでなく、自然界や人間社会における様々な境界が動いたり、融けたりすることもあります。そこで、本公開講座では、複数の分野における境界についての考え方や、研究の成果を俯瞰することで、総合的な知の形成を目指します。
どの境界は維持されており、どの境界は変わりつつあるでしょうか。境界を融解する力、隔てる力、超える力は、それぞれどのように生じ、作用するのでしょうか。こうした問いに対して、人文・社会科学および自然科学の間に築かれてきた境界それ自体を超えて取り組むのが、本講座の目的です。
第135回東京大学公開講座企画委員会 委員長 山本 隆司
(法学政治学研究科長)