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第132回(2021年春季)東京大学公開講座
「データ」

■開講にあたって

 近年、私たちはコンピュータや携帯電話、インターネットなど、生活の様々な場面でデジタル技術とともに暮らしています。特に最近は、「データ」の存在が着目され、情報社会を動かす基本的な資源であることから、情報社会における「石油」であると言われます。また、客観的データに基づいて意志決定を行う社会のことを、データ駆動型社会とも言います。
 「科学」の取り組みも、「データ」に基づいて知識を生み出していくものですので、私たちの大学における様々な研究活動においても「データ」は欠かせない存在です。
 データは、私たちの社会における現実的な課題解決に役立つことはもちろん、私達の想定外の世界を様々な形で見せてくれることも多く、それによってわくわくするような発見をする事もしばしばあります。
一方で、データは真実を語り、正しい意志決定を導くとも限りません。例えば、人を「だます」時にもデータは極めて有効な道具になりえます。従って、データと上手く付き合うためには、知的な技術が必要です。一方で、情報がデータ化されることによって、個人データの漏洩のように、社会問題が引き起こされることもあります。
 特に近年は、インターネットやIoT(Internet of Things)、データベースに代表される情報通信技術の発達により、膨大なデータを扱えるようになりました。スーパーコンピュータや人工知能、データサイエンスの進展によって、データの分析や解析の方法も格段に進歩しています。
 本公開講座のテーマでは、この「データ」をテーマとして、多角的な観点からわかりやすく論じてみたいと思います。上述のように、データは科学の基本的な道具であることから、まず、データが見せてくれるわくわくするような世界を、様々な分野の科学を通してご紹介いたします。一方で、データがもたらす負の側面、例えば、データで騙すことやデータの流出なども扱います。また、データ駆動型社会に向けた情報通信技術やデータ戦略、エビデンスに基づいた社会課題解決などの現状と課題など、「データ」の正体を様々な面から皆さんと一緒に考える講座としたいと思います。
2021年6月
第132回東京大学公開講座企画委員会
委員長 山内 祐平
(東京大学情報学環長)


第132回(2021年春季)東京大学公開講座「データ」

開催日時・プログラム


SCHEDULE/PROGRAM
DAY1 | データ総論
6月5日(土)
時間講義題目講師所属・職名
12:50-13:00開講の挨拶山内 祐平企画委員長/情報学環長
13:00-13:40「データ駆動:サイエンスのデータ駆動化、産業のデータ駆動化、社会のデータ駆動化の俯瞰」喜連川 優東京大学特別教授
13:55-14:35「偽発見の数理」小池 祐太数理科学研究科 准教授
14:50-15:30「データが生み出す創造性」鶴岡 慶雅情報理工学系研究科 教授
15:45-16:35総括討議越塚 登情報学環 教授
DAY2 | データと科学
6月12日(土)
時間講義題目講師所属・職名
13:00-13:40「モノの科学と逆問題」藤堂 眞治理学系研究科 教授
13:55-14:35「データを駆使したシステム薬理学による新たな医療と創薬の展開」鈴木 洋史医学部附属病院 教授
14:50-15:30「衛星データから読み解く地球のいま」横矢 直人新領域創成科学研究科 講師
15:45-16:35総括討議山西 健司情報理工学系研究科 教授
DAY3 | データと人間社会
6月19日(土)
時間講義題目講師所属・職名
13:00-13:40「日本史研究を取り巻くデータの収集と管理」山田 太造史料編纂所 准教授
13:55-14:35「オープンデータで見る日本社会の姿」三輪 哲社会科学研究所 教授
14:50-15:30「経済の歴史を測る」岡崎 哲二経済学研究科 教授
15:45-16:35総括討議山本 義春教育学研究科 教授
16:35-16:45閉講の挨拶津田 敦 執行役・副学長

インターネット動画公開


UTokyo.TV

公開講座の講義をインターネットで公開しています。講義終了後、公開まで6ヶ月以上かかりますのでご了承ください。

偽発見の数理小池 祐太
2021年6月5日
データを駆使したシステム薬理学による新たな医療と創薬の展開鈴木 洋史
2021年6月12日
オープンデータで見る日本社会の姿三輪 哲
2021年6月19日
日本史研究を取り巻くデータの収集と管理山田 太造
2021年6月19日
経済の歴史を測る岡崎 哲二
2021年6月19日

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