
書籍名
次世代医療基盤法の逐条解説
判型など
276ページ、A5判、並製カバー付
言語
日本語
発行年月日
2019年4月
ISBN コード
978-4-641-22766-8
出版社
有斐閣
出版社URL
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「根拠に基づく医療」(EBM) の重要性の認識は広く浸透しているが、そのためには、医療機関等から医療情報を入手して、汎用性のあるデータベースを構築し、複数の医療機関等が、各自の研究目的に応じてそれを利用することを可能にするシステムを整備する必要がある。わが国においても、全国規模で利用できる医療情報データベースは存在するが、診療行為の実施に係るインプットデータが中心であり、診療行為の実施結果であるアウトカムデータの収集は、一部で行われているものの、なお十分とはいいがたい。また、わが国の医療保険制度は、地域保険と職域保険に分立しているため、各保険に基づくデータベース間の連携が不十分であることも、「根拠に基づく医療」の発展の支障になっている。さらに、わが国では、個別の研究機関が、各自の研究目的に応じて医療情報データベースを整備することが多いため、症例数が少なく、地域的にも偏りがあり、複数の医療機関等で診療を受けた履歴を追跡することが困難である等の問題がある。そのため、医療に係るビッグデータを用いた「根拠に基づく医療」を可能するような法整備が要請されるようになった。こうして制定されたのが、「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律」(次世代医療基盤法)である。
著者は、本法の立案の審議を行った次世代医療ICT基盤協議会医療情報取扱制度調整ワーキンググループの構成員であったが、本法が所期の成果を上げるためには、医療情報取扱事業者のみならず、国民一般が、本法の意義と内容を理解することが不可欠の前提となると考え、本法の逐条解説を行った本書を刊行した。逐条解説の前に、序論として、本法制定の経緯および従前の法制の特例を設ける必要性について解説した。また、巻末には、本法、本法施行令、本法施行規則を資料として添付し、読者が適宜参照できるように配慮した。
本法は、法律学を専攻する者のみならず、医学・薬学を専攻する者にとっても、非常に重要な法律であるので、できる限り具体的な事例を挙げて、法律学を専攻しない者にも理解しやすいように努めるとともに、法律学の観点から、十分な内容を盛り込むように意を用いている。とりわけ、本法は、個人情報保護に関する一般法の特別法として位置付けられるものであるので、個人情報保護法制における位置付けが明確になるように留意している。
(紹介文執筆者: 法学政治学研究科・法学部 名誉教授 宇賀 克也 / 2021)
本の目次
1 「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律」制定の経緯
2 従前の法制の特例を設ける必要性
本論 次世代医療基盤法の逐条解説
第1章 総則
第2章 医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する施策
第3章 認定匿名加工医療情報作成事業者
第4章 医療情報取扱事業者による認定匿名加工医療情報作成事業者に対する医療情報の提供
第5章 監督
第6章 雑則
第7章 罰則
附則
資料
医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律
医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律施行令
医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律施行規則