東京大学教員の著作を著者自らが語る広場

白い表紙の周りに紫のアウトライン

書籍名

行政手続三法の解説 [第3次改訂版] 行政手続法、行政手続オンライン化法、番号法

著者名

宇賀 克也

判型など

392ページ、A5判

言語

日本語

発行年月日

2022年4月25日

ISBN コード

9784313312470

出版社

学陽書房

出版社URL

書籍紹介ページ

学内図書館貸出状況(OPAC)

行政手続三法の解説

その他

2016年6月第2次改訂版発売 (更新: 2022年4月)

英語版ページ指定

英語ページを見る

1994年に刊行した『行政手続法の解説』(学陽書房) は、第6次改訂版 (第7版) まで改訂されたが、2014年に『行政手続三法の解説』という書名に変更した。したがって、本書は、実質的に『行政手続法の解説』の第11版に当たる。
 
行政手続三法とは、行政手続法、情報通信技術を活用した行政の推進に関する法律 (デジタル手続法)、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(マイナンバー法) である。本書は、これら3つの行政手続に係る通則法について解説したものである。とりわけ、行政手続法については詳細に解説している。単に行政手続法の解釈について説明するのみならず、重要な裁判例についても解説している。また、特色ある行政手続条例についても説明しているのが本書の特色の1つと考えている。デジタル手続法、マイナンバー法は、法律の条文のみを見ても、その内容を理解することは困難と思われるが、本書をお読みいただければ、両法のエッセンスを理解していただけるものと期待している。著者は、我が国で行政情報化が政府における重要課題として認識され始めた1990年代半ば頃から、行政手続がオンライン化することによって、これまで書面で行われてきた行政手続について、いかなる解釈問題が生ずるかについても関心を抱き、研究を行ってきた。到達時期、電子署名等、そのかなりの部分は、行政手続オンライン化法の制定により解決されたが、なお残る解釈問題がある。文字化け、出願ファイル等のウィルス汚染、システム障害が生じたときの到達時期、スパムメールによる申請を権利濫用として拒否処分を行うことが可能かの問題、申請期限・届出期限の最終日に送信しても全体が行政機関の使用に係る電子計算機のファイルに記録されるのが期限の翌日になってしまう日跨り問題などである。本書では、こうした問題についても言及している。巻末には、これら3法律と行政手続法施行令を資料として掲げているので、本書をお読みいただく過程で、条文を参考にしたいときは、六法や判例データベース等により調べなくても、巻末資料で簡単に確認できるように読者の便宜を図っているので、利用していただきたい。さらに、これらの3法について、より深く学習したい方のために参考となる著書を掲載しているので、活用していただければ幸いである。
 
紹介文更新:2022年4月
 

(紹介文執筆者: 法学政治学研究科・法学部 教授 宇賀 克也 / 2017)

本の目次

I  行政手続法制定の意義

II  行政手続法整備の動向
  1  諸外国における行政手続法制定の状況
  2  わが国における行政手続法制定の経緯

III  行政手続法の内容
  1  全体の構成
  2  総則
  3  申請に対する処分
   4  不利益処分
  5  行政指導
  6  処分等の求め
  7  届出
  8  意見公募手続等
  9  地方公共団体への適用

IV  行政手続法制定の社会的背景と今後の課題

V  デジタル手続法
  1  デジタル手続法の内容
  2  デジタル手続法の施行に伴う整備法
  3  デジタル手続法の施行に伴う関係政令の整備
  4  経過措置
  5  行政手続等のデジタル化に伴うその他の問題

VI マイナンバー(番号)法
  1  マイナンバー法の目的
  2  個人番号
  3  個人番号カード
  4  特定個人情報の提供と保護
  5  法人番号
  6  罰則
 

関連書籍

このページを読んだ人は、こんなページも見ています