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白い表紙にブルーとパープルの模様

書籍名

個人情報保護法制

著者名

宇賀 克也

判型など

378ページ、A5判、並製カバー付

言語

日本語

発行年月日

2019年9月

ISBN コード

978-4-641-22774-3

出版社

有斐閣

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個人情報保護法制

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本書は、わが国の個人情報保護法制の全体像とその特色を描くとともに、個人情報保護に関する一般法として位置付けられる法律とその施行令の最近における改正の内容と意義について論じている。さらに、これらの法改正を受けて、地方公共団体がいかに対応すべきかについても解説している。
 
第1章では、個人情報保護に関するわが国の制度を概観した後、その改革について論じている。
 
第2章では、ビッグデータ時代の到来と個人情報保護法制のグローバル化への対応として行われた2015年の個人情報保護法の改正について詳述している。第1節では「パーソナルデータの利活用に関する制度見直し方針」、第2節では「パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱」について解説し、第3節では、同年の改正はポジティブ・サムを目指したものであると位置付け、その意義と課題について検討している。第4節では同年の個人情報保護法の改正、第5節では同法施行令の改正について論じている。
 
第3章では、個人情報、匿名加工情報、個人情報取扱事業者の概念について検討している。
 
第4章では、民間事業者が遵守すべき個人情報保護法の概要について検討している。
 
第5章では、行政機関および独立行政法人等の個人情報保護制度に関する2016年の法改正およびそれを受けた政令改正について論じている。
 
第6章では、2015年の個人情報保護法の改正および2016年の行政機関および独立行政法人等の個人情報保護制度の改正を受けて、地方公共団体がいかなる対応をすべきであるかという地方公共団体の課題について検討している。
 
本書が刊行された後、2021年に個人情報保護法制の大きな改正があり、行政機関個人情報保護法および独立行政法人等個人情報保護法は廃止され、その内容が、一定の修正を受けたうえで、個人情報保護法5章に取り込まれることになった。また、分権的個人情報保護法制を変革し、地方公共団体および地方独立行政法人の保有する個人情報についても、同法5章で共通ルールが定められることになった。しかし、2021年改正後の個人情報保護法の意義と課題を理解するためには、同改正前のわが国の個人情報保護法制の体系とその意義と課題を理解することが不可欠である。本書が、そのような観点から、わが国の個人情報保護法制の理解の増進に寄与することを期待したい。
 

(紹介文執筆者: 法学政治学研究科・法学部 名誉教授 宇賀 克也 / 2021)

本の目次

第1章 個人情報保護法制総論
 第1節 個人情報保護に関する我が国の制度の概要
 第2節 我が国における個人情報保護法制の体系とその改革
第2章 個人情報保護法の改正
 第1節 「パーソナルデータの利活用に関する制度見直し方針」について
 第2節 パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱について
 第3節 個人情報の保護と利用
 第4節 改正個人情報保護法
 第5節 個人情報保護法施行令の改正
第3章 個人情報・匿名加工情報・個人情報取扱事業者
第4章 民間事業者が遵守すべき個人情報保護法の概要
第5章 行政機関および独立行政法人等の個人情報保護制度の見直し
 第1節 行政機関個人情報保護法および独立行政法人等個人情報保護法の改正
 第2節 行政機関個人情報保護法施行令等の改正
第6章 地方公共団体の課題
 第1節 行政機関個人情報保護法改正の意義と地方公共団体の課題
 第2節 個人情報保護法・行政機関個人情報保護法・独立行政法人等個人情報保護法の改正と地方公共団体の対応
 第3節 地方公共団体における個人情報保護の課題

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