
書籍名
マイナンバー法と情報セキュリティ
判型など
262ページ、A5判、並製カバー付
言語
日本語
発行年月日
2020年2月
ISBN コード
978-4-641-22781-1
出版社
有斐閣
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本書では、マイナンバー法について、その概要を解説するとともに、個人情報保護に関する一般法との関係、同法がわが国で初めて法制化したプライバシー影響評価としての特定個人情報保護評価、共通番号制度導入の意義と実務上の留意点、マイナンバー法が地方公共団体に与える影響を始めとして、多面的に検討を行っている。また、同法の制定を受けて、地方公共団体が講ずべき措置について詳述するとともに、マイナンバー法に基づく対応として既存の個人情報保護条例を改正する方法のほかに、個人情報保護条例の特別法として、マイナンバー条例を制定する方法もあることを示し、「東京都特定個人情報の保護に関する条例」のような特定個人情報の保護のための条例を一般の個人情報保護条例と別に制定する場合の法的論点についても詳しく論じている。マイナンバー法は行政情報化を目的とした法律であるが、マイナンバー制度の導入に当たっては、個人番号、特定個人情報を保護するための適切な措置を講ずることがその前提となる。そのため、同法の規定のかなりの部分は、個人番号および特定個人情報の保護について定めており、情報セキュリティに関するものになっている。
また、サイバーセキュリティ基本法についても、その制定の経緯、法律の概要に加えて、最近の法改正について検討し、併せて、情報処理の促進に関する法律の改正についても論じている。
さらに、本書では、衛星リモートセンシングに関する政策と法についても、詳しく論じている。「衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律」(衛星リモートセンシング法) は、これまで、情報法の観点から注目されることはなく、もっぱら宇宙法制の観点から関心を持たれるにとどまっていた。しかし、衛星リモートセンシング法も、情報セキュリティに関する法律としての側面を有している。すなわち、衛星リモートセンシング法は、衛星リモートセンシングビジネスのための制度的インフラとしての側面と同時に、衛星リモートセンシング記録に係る情報セキュリティに関する法律でもある。情報法の論文集である本書において、衛星リモートセンシング法に関する論文を収録した理由もそこにある。
本書が、わが国における情報の有効利用と情報セキュリティの要請の両立をいかに図るべきかの理解の増進に寄与することができれば幸いである。
(紹介文執筆者: 法学政治学研究科・法学部 名誉教授 宇賀 克也 / 2021)
本の目次
第2章 個人情報保護法制とマイナンバー法
第3章 特定個人情報保護評価
第1節 プライバシー影響評価
第2節 特定個人情報保護評価と既存の制度との関係
第4章 共通番号制度導入の意義と実務上の留意点
第5章 マイナンバー法への地方公共団体の法的対応
第6章 東京都におけるマイナンバー条例の制定
第7章 情報セキュリティ
第1節 サイバーセキュリティ基本法
第2節 衛星リモートセンシングに関する政策と法