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白と青の表紙

書籍名

逐条解説 宇宙二法 人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律・衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律

著者名

宇賀 克也

判型など

376ページ、A5判

言語

日本語

発行年月日

2019年4月

ISBN コード

978-4-335-35791-6

出版社

弘文堂

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逐条解説 宇宙二法

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2016年11月9日、「人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律」(宇宙活動法) および「衛星リモートセンシング記録の適正な管理に関する法律」(衛星リモートセンシング法) が制定され、同月16日に公布された。両者は、一括して宇宙二法と称されることもある。本書は、宇宙活動法と衛星リモートセンシング法の唯一の逐条解説書である。いずれの法律についても、逐条解説の前に、なぜ、これらの法律の制定が必要であったのか、諸外国では、これらの分野でどのような立法が行われてきたのか、わが国の立法の経緯はどのようなものであったのかについて解説している。また、衛星リモートセンシング法については、今後の課題として、衛星リモートセンシング記録の高解像度化が一層進展すると、個人情報保護法制との関係を慎重に検討する必要があることを指摘している。
 
宇宙活動法は、民間の宇宙活動に係る宇宙諸条約の担保法としてのみならず、人工衛星等の打上げに際し、公共の安全を確保するとともに、損害賠償が必要な場合に被害者を迅速に保護し、さらに、宇宙産業を振興するためにも必要性が指摘されてきたものである。また、衛星リモートセンシング法は、衛星リモートセンシング記録の悪用を防ぐとともに、事業者が遵守すべきルールを事前に明確化することにより、予見可能性を向上させ、衛星リモートセンシング記録を利用する新サービス・新産業を振興する制度インフラとして成立が期待されていたものである。
 
宇宙活動法も衛星リモートセンシング法も、新たな規制法であると同時に、新産業の振興法としての性格も併有している。本書では、産業振興を視野に入れつつ規制法の在り方を検討した立法過程の議論が理解できるように配慮した。また、宇宙活動法においては、政府がロケット落下等損害賠償補償契約を締結することとしており、国家補償制度の観点からも重要な法律である。本書では、この観点に照らして、宇宙活動法のロケット落下等損害賠償補償契約の特色が浮き彫りになるように努めた。そして、衛星リモートセンシング法は、情報セキュリティに関する法律としての側面を有し、情報法の観点からも重要な法律である。本書では、この観点に照らして、衛星リモートセンシング法の情報セキュリティに関する法律としての特色が明らかになるように配慮した。
 
本書が、人工衛星等の打上げや人工衛星の管理、衛星リモートセンシング装置の使用、衛星リモートセンシング記録の取扱いを行おうとする方々や、宇宙二法についての研究に携わる方々にお役に立つことができれば幸いである。
 

(紹介文執筆者: 法学政治学研究科・法学部 名誉教授 宇賀 克也 / 2021)

本の目次

第1部
 
第2部  人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律
 序  章 本法制定の経緯
 第1章 総則
 第2章 人工衛星等の打上げに係る許可等
 第3章 人工衛星の管理に係る許可等
 第4章 内閣総理大臣による監督
 第5章 ロケット落下等損害の賠償
 第6章 人工衛星落下等損害の賠償
 第7章 雑則
 第8章 罰則
附則
 
第3部  衛星リモートセンシングに関する政策と法
 序  章 衛星リモートセンシング政策推進の意義と法規制の必要性
 第1章 総則
 第2章 衛星リモートセンシング装置の使用に係る許可等
 第3章 衛星リモートセンシング記録の取扱いに関する規制
 第4章 衛星リモートセンシング記録を取り扱う者の認定
 第5章 内閣総理大臣による監督
 第6章 雑則
 第7章 罰則
附則

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