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白と緑の表紙

書籍名

新・個人情報保護法の逐条解説

著者名

宇賀 克也

判型など

1086ページ、A5判、並製カバー付

言語

日本語

発行年月日

2021年12月

ISBN コード

978-4-641-22822-1

出版社

有斐閣

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新・個人情報保護法の逐条解説

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2021年 (令和3年) に、わが国の個人情報保護法制は大きな変革を受けた。すなわち、従前のわが国においては、セグメント方式を採用し、民間部門の個人情報保護に関する一般法として「個人情報の保護に関する法律」、国の行政機関の個人情報保護に関する一般法として「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」、独立行政法人等の個人情報保護に関する一般法として「独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律」が存在した。すなわち、個人情報保護に関する一般法が三つ存在したのである。しかし、2021年 (令和3年) の改正で、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」および「独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律」は廃止され、その内容は、修正を受けた上で「個人情報の保護に関する法律」に統合された。もっとも、民間部門と公的部門の個人情報保護に関する規律が同じオムニバス方式に転換したとはいえない。なぜならば、民間部門の個人情報保護に関する規律は「個人情報の保護に関する法律」4章、公的部門の個人情報保護に関する規律は同法5章で規定されており、両者の規律は異なるからである。
 
わが国の個人情報保護法制は、分権的個人情報保護法制を採用していた点でも特色があった。すなわち、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」は、国の行政機関の保有する個人情報についてのみ適用され、地方公共団体および地方独立行政法人の保有する個人情報については適用されなかった。地方公共団体および地方独立行政法人の保有する個人情報については、各地方公共団体の個人情報保護条例で規律されていたのである。しかし、同年の改正で、地方公共団体および地方独立行政法人の保有する個人情報の保護についても、「個人情報の保護に関する法律」5章の規律が適用されることになった。もっとも、地方公共団体は、一部、個人情報保護条例で、地域の特性に応じた規律を行うことを認められている。
 
本書は、大きな変革を受けた新たな「個人情報の保護に関する法律」の逐条解説を行ったものである。もっとも、本書執筆時点でなお有効に存在していた個人情報保護条例のうち、特色のあるものについても言及している。著者は、個人情報保護条例のすぐれた規律は、「個人情報の保護に関する法律」に取り入れられるべきと考えており、将来の同法改正の機会に、個人情報保護条例の先進的な規律を反映してほしいと願っているからである。
 

(紹介文執筆者: 法学政治学研究科・法学部 名誉教授 宇賀 克也 / 2022)

本の目次

序 論 立法の経緯と個人情報保護法制の体系
 
第1部 個人情報保護法の逐条解説
 第1章 総則
 第2章 国及び地方公共団体の責務等
 第3章 個人情報の保護に関する施策等
 第4章 個人情報取扱事業者等の義務等
 第5章 行政機関等の義務等
 第6章 個人情報保護委員会
 第7章 雑則
 第8章 罰則
 附則
 
第2部 情報公開・個人情報保護審査会設置法の解説

関連情報

旧版:
個人情報保護法の逐条解説 - 個人情報保護法・行政機関個人情報保護法・独立行政法人等個人情報保護法 [第6版] (有斐閣 刊 2018年6月)
https://www.u-tokyo.ac.jp/biblioplaza/ja/C_00012.html

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